弟が今日免許を持って都会から帰ってきました。
取り立てホヤホヤ、若葉も若葉、柔らかい新芽ちゃんです。
その新芽ちゃんが私の車でレンタルショップへ行きたいとか言うので、何故か助手席に私がイン。
走り出すマイカー、がたぶるする私。
40キロマジ怖い。
右側走行ガチで危ない。
でも私も若葉だったんだよなぁ。
頑張れ弟。
ただし私のハニー(パッソ)は貸さん。
眼前を行く広い背にそっと手を伸ばす。
深い緑の着流しに己の指先が触れるか触れないか、男の歩みがひたりと止まり、來海は眼を丸くした。
「どうした」
「別に何でもないんだ」
怪訝そうな顔の小十郎にくつりと咽を鳴らし、伸ばしたままの手で撓んだ袖を摘む。
そうして大事そうにきゅうと握り締め、はにかんだ笑みを浮かべた。
「…何で手を掴まねえ」
「謙虚で可愛いだろ?惚れ直した?」
「気色が悪い」
「…不発か」
小十郎は眉間に皺を寄せると緩く戒められた腕をふるふると揺らし、來海の指を柔らかく払った。
半歩後ろからかかる落胆の声を聞き流し、骨張った指に己の指を絡め強く引く。
縮まった半歩に、軽く踵を浮かせ少しだけ高い來海の唇をさらりと掠め取った。
「惚れ直したか?」
意地の悪い凶悪な笑みに小十郎の頬傷が歪む。
じわりじわりと來海の白い頬が赤く染まり、仕舞いには空いている片手で口元を覆い蹲ってしまった。
「寂しいなら寂しいと言やぁ良いだろう」
「返す言葉もありません…」
「行くぞ」
「おー」
**********************
彼方此方ふらふらしてギリギリまで我慢して爆発しそうになったら構って攻撃をする隊長。
そんな事しなくてもちょっかい出してくればいいのにと思う右目。