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一口頂戴、なんて簡単に言わないで(ビトロズ)


ビトロズへのお題は『一口頂戴、なんて簡単に言わないで』です。
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 それは、ある日の午後だった。
 ブラックナイトの首謀者として、地方から与えられる公共奉仕活動を行いつつ、ひと気のない山奥でひっそりと暮らす毎日。
 そんな自分の元へ、ちょくちょくかつての知り合いたちは訪れた。軽い挨拶、なぐさめ、叱咤激励。目的は様々だ。
 静かな日々。その中で彼らと言葉を交わすのはちょっとした楽しみのひとつとなっている。そのメンバーにひとり混ざる、ふわふわの綿毛の少年――いや、青年。
「いつも手土産を持ってきてもらって悪いね、ビートくん」
「いいえ。アラベスク自慢のパティシエが作ったケーキです。まちがいなくお口には合うはずですよ」
 と、ちょっとした土産を持って、自信満々にやってきてくれる。
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自己愛の塊(Nゲー)


NゲーのBL本は
【題】自己愛の塊
【帯】あなたに忘れ去られることが死ぬほど怖い
【書き出し】ひとつが満たされれば次が出てきて、飽きるということを知らない。
です
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 ひとつが満たされれば次が出てきて、飽きるということを知らない。トウヤと別れ、イッシュを離れ、色んな地方に旅をした。それから二年後、再びイッシュへ戻り、キョウヘイたちと父の陰謀を阻止もした。そしてまた、時を経ての、今。
 パシオにやって来て、さまざまなトレーナーたちと出会った。父であり、父でない人物とも。そしてその、企みをも防いだ。その後、一時的な協力関係を結ぶことにはなったものの、これでゲーチスの野望が止まるはずもない。
 きっと――いや、必ず。今後、なにか画策してくることだろう。
「…………」
 トレーナーズサロンから外へ出て、暗い夜空をぼうっと見上げる。
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世界にふたり(アポサカ)


「世界にふたり(アポサカ)」
外がひどい嵐。激しい雨音と風の音で、家の外の音が一切聞こえない。お互いの立てる音と声しか耳に入らなくて「世界に二人だけしかいないみたい」と言うので、大雨も悪くないなと思う。
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「天気予報は大当たりのようだな」
 窓から外を見下ろして、ボスはヤレヤレ、と首をふった。
 パシオ島内の視察。以前から、市街地とはなれた山沿いに古い空き家があったのを覚えていた自分が、ここに拠点のひとつを用意しては、と提案したのだ。
 空き家といっても、人手から離れたのはそう古いことではないようで、島の組合に確認をとったところ、安価で売りに出ているという。
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結婚しちゃおっか(ズミザク)


貴方はズミザクで『結婚しちゃおっか』をお題にして140文字SSを書いてください。
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 パシオ島内、ポケモンセンター内。その一角に、誰もが近づかない空間があった。その空間の主はひとり。イライライラ、とあふれ出る怒りと不機嫌を隠さず、彼はこちらに背をむけて佇んでいる。
(あー……なるほど。これで呼ばれたんですか)
 岩場でのんびりとクライミングの算段をつけていたところ、ホロキャスターから至急の連絡が入って、いったいなんだ、とは思っていたのだ。
 苦笑いを浮かべつつ、近寄るなオーラを全面にふりまいている親友の背中に、そっと声をかけた。
「ズミ」
「……ああ、あなたですか」
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彼方(テルウォロ)


「……それは、アルセウス!?」
 プレート集めの最終盤、コギトの庵にて。
 彼女がまな板と称していたプレートをもらった直後、さて次はテンガン山、と心したタイミングだった。
 庵の外の畑のとなりで、少年がふとボールから取り出したポケモン。それは、まっ白に神々しく輝く、ヒスイの地をすべる神の姿だった。
「ど……どう、して」
 ありえない。ありえるはずがない!
 プレートだって、最後のひとつをまだ自分が持っているのだ。それなのに、この少年はなんてことない表情をして、神を召喚してみせた。
「びっくりしただろ?」
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ロマンティックは在庫切れ(ビトロズ)


 五年。ムゲンダイナのブラックナイト事件から、五年の歳月が流れた。
 周囲のすべてが移り変わって、体も心も成長した。ジムリーダーも板につき、名実ともに一流のポケモントレーナーとなれたはずだ。
 フェアリータイプのポケモンたちと、日々切磋琢磨する。一部リーグに置いて挑戦者を見極め、倒し、時には倒されることもあっても、押しも押されもしない、立派な人間になれたはず――だったのに。
 ああ、と両手で頭を抑え、天井を見上げた。見覚えのないまっ白の天板が、現実をじわじわと脳内にしみ込ませてくる。
「……なんてことを」
 むくり、と寝台から上半身を起き上がらせ、呻く。そう、寝台――ベッド。
「このぼくが……こんな、まさか」
 となりに眠る人を見下ろし、自らの胸元をくしゃっと握って、叫ぶ。
「こんな……体からの関係、なんて!!」
 と。
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