墨絵のような景色だった。白い空の下、色を失った枝にとまる、三羽の小鳥。
ただの静止画でしかないような、静かな映像だ。時折、淋しい風がヒュルリと空気を動かして、乾いた葉っぱがさらわれていく。その真下に佇む、一人の男性の手元へと。
「あ」
スッと手のひらでそれを受ける人の姿に、思わず小さな声がもれる。
気配にさとい彼は、即座に振り返り目を見開いた。
シルサカ小説への暖かいお褒めの言葉を頂きまして(本当にありがたい)、
ひそかに考えていたポケマス時空の二人について、
せっかくなのでここにツラツラ書きたいなぁと思います。
(ほんとはマシュマロ返答に入れたかったんですが…長くって入りきりませんでした! 添削の限界!)
「なかなかの絶景だねぇ」
眼下に広がった一面の冬景色に、感嘆の声がもれた。
終の棲家と決めたアローラでは、けっして目にできないような氷のかたまりが目前には広がっている。
白く厚く連ねられた白峰は、自然のものとそん色ないほどに荘厳だった。
※二次創作お題素材ガチャ様より「
odaibako.net」
レサカ本の二つ目、カーナルラストの後日譚です。不穏な感じ。
「くっ……」
ぬるい湯がせなかをなぞるに合わせ、ズキズキと右手が痛みを発していた。
まぶたを閉じれば、つい数時間ほど前の映像がよみがえりそうになる。シャワーの水流を強め、瞬間的に気を散らした。
彼、レッドの無体によっていたぶられた全身と、割れたビンによって傷ついた右の指先。それらがジクジクと沁みてくる。
「これ、受け取ってください」
両手で、グイっと彼の目前に小箱をさしだした。
ブラウンチェックの包装紙にくるまれたそれは、この季節、町中に溢れかえっているチョコレートの一種類だ。赤いリボンの合間には、かんたんなメッセージカードも添えてある。
「え、ビートくん?」
「バレンタインデー、ですし。……その、常日頃のお礼です」
目をまんまるく見開いた元ガラル委員長に、おしつけるように手渡した。
ふわっと調べて試すとだいたい失敗しますね。
なにかといいますと、トスツイって呼ばれる例のヤツのコトですが…!
「…………」
「……あの。さすがに無言だと、その、気まずいんだけど」
ポカン、とめずらしく大口開けて硬直する義父を前に、頭を掻いた。
本日は、二月十四日、バレンタインデー。
プラズマ団の王を冠していた時は、そういった世情にまったく関与せず、イベントごとにはいっさい無頓着であった。
しかし今、トウコやメイ、他友人たちによって、いろいろな世間の行事を知った。
「ズミ……これは……?」
「ええ。しばらく大会もないんでしょう?」
目前にあつらえられた、特大のアフタヌーンティーセット。
特性プレートの上に飾られているのは、それだけで目が奪われるほどの、かわいらしいスイーツたちだ。
つやつやと輝くイチゴの山。手のひらサイズの容器に固められた桃色の飴細工やチョコレート。
ふわふわと白いマシュマロが、花のように散りばめられている。