本編をクリアした勢いでガーッと書いた(第二弾)のテルセキ(主セキ?)です。
キャラクター参考は先輩テルくんですが、
対セキさんには敬語っぽい、という脳内設定で書いています。
「あー……暑い!」
もくもくと煙の吹きあがる火吹き島の火山地帯。溶岩が目の前で流れていくそこは、ただ立っているだけでもダラダラと汗が流れ出てくるようだ。
コンゴウ団の長であり、恩人でもある人。彼、セキとともに、この溶岩の戦場の見回りにやってきている。冬場であっても真夏以上の熱気に満ちたそこに、一周ぐるりと回った後、互いに根を上げ始めていた。
「オイ、ドリバル」
ポケモンワールドマスターズ関係者のみが入ることのできる、地下二階通路。
配線が張り巡らされたそこで設備チェックを行っていたドリバルに、ふと背後からかけられた声があった。
「……はい?」
振り返れば、強い視線。腰に手をあてて物言いたげな様子の青年が、赤いサングラスごしにジッとこちらを凝視していた。
「若、どうされたのです? こんな時間に」
うららかなパシオの午後三時。
太陽は雲ひとつない空でさんさんと輝き、冬の寒さをあっけなくとり払っていく。
四月の初めのやわらかい陽気のなか、市街地はすっかりイースターの風貌へと変わっていた。
(……なつかしいな)
イッシュ地方でも一般的とされる、宗教にまつわるお祭り。
あちらでも、毎年いろいろな町で催されていた。
カラフルな旗で彩られた街並みを、まさかここパシオでも体感できるとは。
「あうぅ……すごい雪……」
傍らで、大仰な仕草で身をのけぞらせているのは、かつて同じジムリーダー仲間であった、画家のアーティだ。あのプラズマ団の騒動から二年経ち、こちらはジムリーダーを退いたにも関わらず、相変わらず親交の続いている青年でもある。
「雪には慣れているつもりだが……困ったものだ」