「――始めっ!」
こぶしが強く空を切る。光速を上回ると錯覚するほどの肉体の弾丸が、バツンッとはじけとんで着地した。
速い。息つく間もない攻防。右足が前段動作なしに蹴り上げる。赤い髪の毛がヒラリと残像を残して宙を舞った。
「ふむ、さすがはレンブ」
「余裕ですね、アデクさん」
ついったーでもちょろっと書きましたが、
ピクスクのオンラインイベント、参加したいなぁ…って思ってます。
※転生・学パロです。今生では親子でない(完全他人)設定。
「教頭先生」
「……もう、下校時間は過ぎましたよ」
学校内の戸締りを確認するうしろ姿に声をかければ、彼は振り向きもしないまま、冷たく言いきられる。
「先生を待ってたんです。……いっしょに帰ろうよ、ゲーチス」
「……あれほど、学校では名前で呼ぶなと言っているでしょう」
呆れとイラ立ちまぎれの声だ。そのままスタスタと歩いていくうしろ姿を、一定の距離をあけて追いかけた。
シュートシティ、北。元ローズタワーの、裏手。
そこからさらに北へ、北へ。大人ですら足を踏み入れない荒れ地を超えた向こう。見下ろす先は崖になっている町の最北端に、その建造物は存在していた。
「……お参りに来たんですか」
白い墓標。土に埋め込まれたそのプレートをそっと撫でる人の背中に、声をかける。
「……あ」
開け放たれたままの交番の入口から、ゆっくりと光が射しこんでくる。なんとなく目を向けて、ハッと立ちあがった。常にくもりか雨ばかりのこの島では、日が射すのはひどくめずらしい。
報告書をまとめる手をとめて、外に出て空を見上げた。濃い灰色のくもの隙間から、おだやかな黄色の光が降りそそいでいる。
「……う、っ」
ひどい頭の痛みで、意識が覚醒する。
開いた視界に広がったのは、うすい卵色の天井。発熱のためかぼやける眼前の景色は、それでもここが直前の――滝へ落下したのちの地獄ではないことを知らせてきた。
「あ。……目が覚められたんですね」
若い男性が、点滴台の調整をしつつこちらを見た。うす水色の白衣を着用した彼は、看護師だろうか。
2021/10/6に送って頂いたマシュマロ返答です
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