早朝、午前四時。
ポツポツと等間隔に並べられた石灯篭が、うっすらとした明かりをともしている、暗い夜の神社だ。
「こんな時間でも……人、いるんだね」
キョロキョロと興味深そうに境内を見回しながら、レッドは小さくつぶやいた。
冬であっても厚着のひとつもしない青年に、むりやり着せた黒いコート。それはどうやら、彼の存在感を薄めるのに効果的だったらしく、生ける伝説がウロウロしていても周囲はまったく気にもとめない。
男二人の組み合わせもさほど珍しいものでもないようで、他の初詣客たちは隣をスッと通りすがっていく。