「親父……」
「……ああ。よく来たな、シルバー」
狭い、無機質な場所であった。鉄のさび色がじっとりと重い、ただ彼と自分だけの空間。かつて栄華を誇ったロケット団のボス。そんな人物が入るには似つかわしくない、薄暗い世界。
「ずいぶんとマメな面会だが、私生活は充実しているのか」
「別に。……あんたに心配されるようなことはねぇよ」
ふいに懐かしい声を聞いた気がした。
「あんた……自殺志願者?」
「……ずいぶんと、ぶしつけな質問だな……」
助けた者と、助けられた者。流れの早い川の浅瀬で介抱されながらの問答にしては、いささか不似合いな会話だった。
「だって、急に流れてきたし……最初、死体かと」
「……まあ、あながち間違ってもいない」
夢破れ、二度も子どもに無残に負け、意気消沈したのは否めない。