スポンサーサイト




この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

複雑な理由(シルサカ)


「親父……」
「……ああ。よく来たな、シルバー」
 狭い、無機質な場所であった。鉄のさび色がじっとりと重い、ただ彼と自分だけの空間。かつて栄華を誇ったロケット団のボス。そんな人物が入るには似つかわしくない、薄暗い世界。
「ずいぶんとマメな面会だが、私生活は充実しているのか」
「別に。……あんたに心配されるようなことはねぇよ」
続きを読む

ひとつに(レサカ)


 ふいに懐かしい声を聞いた気がした。
「あんた……自殺志願者?」
「……ずいぶんと、ぶしつけな質問だな……」
 助けた者と、助けられた者。流れの早い川の浅瀬で介抱されながらの問答にしては、いささか不似合いな会話だった。
「だって、急に流れてきたし……最初、死体かと」
「……まあ、あながち間違ってもいない」
 夢破れ、二度も子どもに無残に負け、意気消沈したのは否めない。
続きを読む

前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2019年09月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30