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体調不良の特権(ギマレン)


 チャンピオンバトル最終日。すべての対戦相手との戦いを終えたイッシュ四天王は解散となった。
 シキミは本の締め切りがヤバイと一足早く帰り、カトレアはコクランが迎えに来て、チャンピオンであるアデクはあの身軽さですでに姿を消している。
 男二人が現場に残され、さて帰るか、というタイミングだった。
「う……頭が、痛い」
 ギーマが眉を寄せ、小さく呻く。よくよく見れば確かに顔色も悪い。
 白い肌は血の気を失っているし、目つきはふだんの一割増しで鋭かった。
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願言(ギマレン)


ギマレンのタイトルは『願言(ねがいごと)』
煽り文は『それでも、諦めたくない』です
shindanmaker.com

「情けないことを言うようだけれど」
 とん、とテーブルの端を爪で叩くと、ギーマは切れ長の目でこちらを見た。
「正直、あなどっていたんだ」
「……あなどっていた?」
 パシオ島内、ギーマのホテルの一室にて。
 夏の宵。バルコニーに備えつけのテーブルをはさみ、互いに向かい合っているこの状況。
 卓上にはすでに半分ほどに減った赤ワインのボトルが置かれ、薄暗い照明に照らされてなお、ギーマの頬はハッキリと赤みを帯びている。
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エレクトロ(ギマレン)


「つ、疲れた……」
「……大丈夫か?」
 パシオ島内、もはや常連となった大衆食堂のテーブルにて。
 四天王の頃の衣装を着たギーマが、ぐでんと卓上に腕を伸ばしてダラケていた。
 つい立てで周囲の目がないせいか、ひどく無防備だ。
 まぶたを閉じた表情には疲労がにじみ、整えられている髪もわずかにほつれてしまっている。
「こんな朝っぱらから、いったいどうした」
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モンタージュ(ギマレン)


「お前は……なんというか、相変わらずだな」
 イベントから帰ってきた男に、しみじみとそう語りかけた。
 場所は、宿泊しているホテルの一室。四天王専用の広いスイートルームだ。一応は恋愛関係である間柄ゆえに、勝手知ったるとばかりにこちらのソファを占領している。
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最大級の口説き文句(ギマレン)


貴方はギマレンで『最大級の口説き文句』をお題にして140文字SSを書いてください。
#shindanmaker
shindanmaker.com

「…………」
 背後から視線を感じる。ここパシオにて再び出会った男。元同僚である彼ギーマとは、もともとそれなりに親交はあった。
 彼が『人生最大の賭け』とやらに敗北しイッシュ地方を去り、もう二度と会うことはないかもしれないと、少々寂しい思いもしたものだ。
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秋の秋(ギマレン)


「――始めっ!」
 こぶしが強く空を切る。光速を上回ると錯覚するほどの肉体の弾丸が、バツンッとはじけとんで着地した。
 速い。息つく間もない攻防。右足が前段動作なしに蹴り上げる。赤い髪の毛がヒラリと残像を残して宙を舞った。
「ふむ、さすがはレンブ」
「余裕ですね、アデクさん」
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あらゆるもの(ギマレン)


「まさか、君とこうやって時間をともにするなんてね」
 ほのぼのとさざ波のうち寄せる砂浜だ。
 屋外に置かれた木製のテーブルをはさんで、向かい合ってパイルジュースを飲んでいるという、不思議な状況。
 潮風に黒髪をそよがせている正面の男は、見慣れぬ着流しの裾からそっとチップを卓上に置いた。
「年をとったということだな。わたしも……お前も」
「アハハッ……違いないな」
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Don't depend.(ギマレン)


「そこのお兄さん、今夜どう?」
「……はっ?」
 ポカン、と大口を開けたレンブに、まだ年若い青年は頬をゆがめて近よってきた。
 時刻は夜。場所はヒウンシティスリムストリート。
 生活用の備品を購入した帰り、時間短縮と路地裏を通ったのが災いしたらしい。
 ぶしつけな視線を向けてきたうちの一人が、そんな声をレンブにかけてきたのだ。
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小さないのち(ギマレン)


「ほら、可愛いだろう?」
 ぐい、と目前にさし出された子猫――もとい、チョロネコ。
 まだ生まれてまもない、ふさふさとした紫の毛並み。
 開いたばかりの瞳は、本来の鋭さは影を潜め、あどけない可愛らしさを発している。
「か……まぁ、そう、だな」
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こずえに消ゆ(ギマレン)


 枝葉の隙間から、さんさんと太陽の光が降り注ぐ。
 暖かいアローラの風土のなか、カプの村から陸沿いを通り、草むらを通れば、
「……ん?」
 視界の端を、黒い影がよぎる。シュッと横切って行ったのは、定かではないが、一匹のアブソルのように見えた。
(…………)
 野生なのだろう。その影は黒い尻尾の残像を残して、木の枝の向こうに消えて行く。
 ガサガサと、草をかき分ける音だけを置き去りにして。
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