「まさか、君とこうやって時間をともにするなんてね」
ほのぼのとさざ波のうち寄せる砂浜だ。
屋外に置かれた木製のテーブルをはさんで、向かい合ってパイルジュースを飲んでいるという、不思議な状況。
潮風に黒髪をそよがせている正面の男は、見慣れぬ着流しの裾からそっとチップを卓上に置いた。
「年をとったということだな。わたしも……お前も」
「アハハッ……違いないな」
もこもこと白い湯気がわき上がる温泉地、キルクスタウン。
8番道路とその町の途中、雪がこんもりと積もる脇道をむりやり押し通った先に、効能たっぷりの秘湯がある。
そんな眉唾を確認してみようとビートが思ったのは、ほんの気まぐれだった。
そう、いつも世話になっている元ジムリーダーが、腰が痛いの肩が痛いのとうるさいから、もし秘湯が本当にあれば、いずれ連れてきてあげよう。その、確認もとい、お試しのつもりだったのだ。
ロケット団が解散して、はや五年の歳月が流れた。
当時は意気消沈して、どうしようもないほど苦しんだ自分。抜け殻だった心も、今となってはいくらか整理がついて、日々をたんたんと過ごしているのが現状だ。
他の幹部メンバーたちとは連絡先こそ交換しているものの、あれ以来、ろくに通話もしていない。それはつまり、まだ誰もあの人を――かつてのボスを見つけられてはいない、ということだ。
「…………」
うららかなパシオの午後三時。
太陽は雲ひとつない空でさんさんと輝き、冬の寒さをあっけなくとり払っていく。
四月の初めのやわらかい陽気のなか、市街地はすっかりイースターの風貌へと変わっていた。
(……なつかしいな)
イッシュ地方でも一般的とされる、宗教にまつわるお祭り。
あちらでも、毎年いろいろな町で催されていた。
カラフルな旗で彩られた街並みを、まさかここパシオでも体感できるとは。
※転生・学パロです※
「ここは立ち入り禁止だったはずだが?」
ひゅう、と風に吹かれて立つ学校の屋上。
古びたフェンスが煽られてガタガタと音を立てるさなか、一人立つ自分の背中に声がかかった。
「…………」
振り返るまでもなくわかる、その人物。小さく一つ息を吐きだして、ゆっくりと振り返った。
「サ……校長、先生」
Nゲーのお話は
「好きって言ったら怒る?」という台詞で始まり「あんまりにも綺麗で、目頭が熱くなるのを抑えることができなかった」で終わります。
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「好き、って言ったら怒る?」
「……聞く時点で、わかってて言ってますよね」
目の前で本のページをめくるゲーチスが、いっさい視線を合わせないまま言い放った。
そんな反応の薄い男を見て、むぅ、と頬をふくらませる。
「賢いねぇ」
感心したような呟きが、思わず口からこぼれ落ちた。
「……あぁ?」
「あ、いや。よくあんちゃんになついてると思ってね」
三匹現れたビードルをであいがしらで一匹はたきおとした後、ミサイルばりで残り二匹を見る間に駆逐。
流れるような見事なさばきだ。