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drrr続き

暫く見ないうちに何だか黄色くなったなぁ、


雑多な街中をすり抜けながら路地裏を歩く來海の眼に、ちらほらと黄色の目印が映る。
それはバンダナであったり、ピアスであったり、カチューシャであったり、ヘアバンであったり、スタンダードなTシャツであったり様々な物なのだが、皆一様に黄色い。
長い髪を後ろで一本に括り、黒いジーンズに黒タートル、同色のラフなパーカーと言う出で立ちの來海は、時折ガンを付ける黄色い若者を目線で黙らせながら脚を進める。
路地裏ばかり選びさ迷う目的はある。
有るには有るのだが、と。
來海はその場で軽く項垂れた。


歩けども歩けども探し人は見つからない。
そもそもあれは人と呼んで良いのだろうか、表通りに近い場所でとうとう立ち止まりそう考え始めた來海の耳に、甲高い馬の嘶きが突き刺さる。

(見ーつけた)

口の端を吊り上げ脚に力を込めた。
コンクリートを蹴り飛び出した先では、黒いバイクの何者かが黄色い若者に周りを囲まれている。

二十は居るだろう。

口々に罵倒を繰り返し手に持った得物を振り回す若者に、最近の餓鬼は対峙した相手の力量も判断できないのだろうかと來海は密かに嘆息した。
雰囲気で困り果てる黒バイクも同じらしい。
どう見ても弱い者イジメになってしまう乱闘が容易に想像でき、來海は改めて長々と深い溜め息を吐いた。


「何だオッサン、黒バイクの仲間かよ」

「オッサン言うな、お兄さんだ。別に仲間じゃねぇが聞きたいことがあるんでね…俺、一日中歩き通しなんだよ。そちらさんには悪いんだけど、脚を棒にしてバイク探し出したカワイソウなお兄さんに免じてそいつ譲ってくんね?」


小首を傾げ強請る大男にオッサン超キモい頭イカレてんのかと吐きかけた若者達は、黒バイクから來海へ完全に標的を移した様子であった。
鉄パイプやナイフを構えにじり寄る若者達を、特段何をする訳でもなく待つ來海。
慌てる黒バイクが長い指を駆使して黒い端末に何やら文字を打ち込み、其れを見るよう大きくジェスチャーしているが、今にも襲われそうな当の本人は我関せずとぼんやり突っ立っている。

黒バイクの身振り手振りからして、逃げろとでも言っているんだろう。
街灯にきらりと煌めいたナイフの白刃。
突っ込んでくるだけの刃物を己の身体を最小限捻ることで避けた來海は、バランスを崩した若者の腹に膝を入れる。
地べたとお友達になった一人目を見ていきり立つ残りの人数に、來海は手近な人物からむしり取った鉄パイプを掲げながら、閻魔も裸足で逃げ出すような凶悪な笑みを浮かべた。


「お兄さんだって言っただろーが。悪い口にはお仕置きが必要だな」



―中年の自覚?何の事やらサッパリです―
(死屍累々、阿鼻叫喚の地獄絵図からこっそり逃げ出そうとした黒バイクのシートにぎちりと爪を立てた)(馬の悲鳴を無視して、何処行くのかなお嬢ちゃん、と話しかけたら壮絶に怯えられた)(失礼だと思った)



―――――――――――
セルティ捕獲。
次は誰だろう。
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