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ss誕生祝


些か勢いのある音と共に現れた長身の男を一瞥し、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは溜め息を吐いた。


「…ノックをしたまえツクモ教授」
「此処まで追いかけて来た献身的な恋人にその言いぐさかアーチボルト教授」
「来ていただきたいと言った覚えはないのだがね」
「まったくお前ってやつは…」


亜細亜系の端正な表情に笑みを浮かべ、男はケイネスの腕を引く。
なんのかのと言いつつ大人しく頬へのキスを受けるケイネスを多少強引に押し退けたのは、燃えるような赤毛の美しい女であった。


「トーヤおじさま!来てくださるのなら教えてくれれば良かったのに!」
「久しぶり、お嬢さん。ちょっと見ない間にいっぱしのレディになっちまって…」
「おじさま、子供扱いは止してくださる?私だってもう大人ですもの」
「あぁソラウ、可愛いお嬢さん。大人の女ってのは無闇矢鱈に男へ飛び付かないもんだ」


首筋に腕を回すソラウを軽々と抱き上げ、男は形の良い唇を彼女の両頬へと落とす。
擽ったそうに身を捩る女の後方で額に青筋を浮かべているケイネスに苦笑し、男はソラウを毛足の長い絨毯へそっと下ろした。


「さあ土産だよ。お嬢さんの口に合うと良いんだが」
「おじさまのお土産はいつも美味しいわ。待っていて、今紅茶をいれるから」
「ありがとうお嬢さん」


足取り軽くキッチンへと向かったソラウを柔らかな視線で見送り、男は懐のケースからシガリロを抜く。
手慣れた仕草で火を付けた男を横目に、ケイネスはどさりと椅子に腰を下ろした。


「授業はどうしたのかね」
「休暇を取った」
「学長がよく許したな」
「なに、未来の息子夫婦を手助けしたいと願い出たら一発さ」


紫煙を燻らせる男へ、険の増した様子でケイネスが鼻を鳴らす。
不機嫌と書かれた容貌のまま、ケイネスは棘を含ませた声で男へ問いを投げた。


「一体どこの世界に恋人が他の相手と上手く行くよう画策する男がいるんだ」
「ケイネス…俺はお前を愛してる。だからこそお前が唯一異性として愛したソラウとの仲を応援したい」
「…理解ができないな」
「なあケイネス。『男として、男の俺を一番に愛してる』とまでお前に言われて、あまつさえお前達が授かった二番目の子供を養子に貰う約束までして、これ以上俺に何の幸せを望めって言うんだ」
「嫉妬はしないのか」
「男女じゃ向ける愛のベクトルが違うと言ったのはお前だぞ」


短くなった葉巻の火を揉み消し、男はケイネスの髪へ掌を滑らせた。
ハーベストの稲穂を思わせる豊かな金糸を武骨な指に絡ませ、蒼く済んだ双眸に自身を重ねる。
白い肌に色付く紅い唇へ触れるだけのキスをし、男は不適な微笑みを浮かべた。




【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト先生誕生祝ss】

不完全燃焼気味
慣れない西洋モノで無理した感が凄まじい
眠いから色々おかしい
先生ハピバ!(←やけくそ)
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