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久々

少しまじめにBASAポケ小話。


今さっきまで四天王フルボッコを繰り返してました。
おかげでおこづかいが百万越えた…
昔は999999円までしか貯められなかったのになぁ…ポケモンは進化し続けるんだな。
久しぶりにカチカチ打って楽しかったです。

ss



じわじわと這い上がる何かに追い立てられ、ブラックは帽子の下で眉を顰める。
求めても求めても足りない何か、それが何なのか、理解どころか輪郭すら掴めず、苛立ちばかりが募ってゆく。
足下の丸いワープパネルに片足を乗せた刹那腕を引かれ、ブラックは背後に立つ男の腹へ背をぶつけた。


「何」
「腕、怪我してんぞ」


ぴりりと走る痛みに掴まれていない方の腕を見れば、成る程服が裂け肌が浅く裂けている。
伝う血液に一体何時の事だろうと思考を巡らせ、止めた。
ダゲキかシャンデラかサメハダーかゴチルゼルか、いずれにせよ傷は受けているのだから、原因の追究は無意味である。


「腕をまくれ、今薬を塗ってやる」
「必要ない」
「いいや、手当てをする」
「いらない」
「駄目だ」


男の手を振り払おうとするも、体格からして勝ち目のないブラックは、睨み合いの後しぶしぶ袖を捲った。
石畳に腰を下ろし鞄を漁るブラックが最終的に取り出した『きずぐすり』に、男は長々と溜め息を吐く。


「そりゃ人間の薬じゃねえだろうが…」
「案外効く」
「横着すんな馬鹿、こっちを使え」
「それはコジュローさんの薬だから」
「つべこべ言うな。それと俺は小十郎だ、いい加減覚えろ」
「コジューロ、コジュ…ロ?」
「こじゅうろう、だ」
「コ…ジュウ、ロウ」


首を傾げながらコジュウロウコジュウロウと呟くブラックに、次は年上に対しての敬語の使い方を叩き込むかと片倉小十郎は苦笑する。
可笑しな霧の中で主とはぐれ、気が付けば小十郎は見知らぬ森で可笑しな格好をした少年に見上げられていた。
表情の抜け落ちた少年は自らをブラックと名乗り、身元不明で異界の住人である小十郎の保護者になるとあっさり宣ったのだ。
そうして行動を共にし早十日。
付き合いの浅い小十郎が気に留める程、ここ数日ブラックは苛ついている様子であった。


「何をそんなに焦ってるんだ」


瓦礫の目立つ広間を眺め投げかけた問いにブラックは珍しく焦燥の滲む栗色の瞳を小十郎へ向け、困ったように『俺は焦ってるのか』と唇を歪ませた。


「シンオウのカミサマは時空を操るって聞いた。だから、たぶん、其処へ行けばコジュウロウは帰れる。でも相手はカミサマって呼ばれてる伝説のポケモンだから、今の俺が勝てるかどうか…判らない」
「神…だと?」
「イッシュで一番強いのは俺だから、俺が勝てなきゃコジュウロウは帰れない、だから」


もっと強くならなきゃ。
大きな瞳に炎を宿し拳を握る少年に、小十郎は目を丸くした。
現れたのが突然ならば、帰るのもまた突然だろうと考えていたが、どうやら事態はそう簡単ではないらしい。
見ず知らずにも近い男の為に神へ喧嘩を売ろうとしている年端も行かぬ少年が不思議でならなかった。


「俺のために…何故其処までする?」


濁りのない栗色の瞳をぱちくりさせ、ブラックは何を今更と呆れたような声を出した。


「助けてくれって、言ったから」
「それだけか、」
「あと、帰りたいって言ったから」
「たったそれだけでの事で…」


ガーゼの貼られた腕を眺め、ブラックは袖を下ろし立ち上がる。
ぱたぱたと尻の土埃を払い、ベルトに付けたボールの順序を入れ替え、釣られて立ち上がった小十郎の右手を薄く小さな左手で絡め取る。


「他に理由は必要無い」


青白く輝きだした石像を背に微笑んだブラックの頭を、小十郎は空いた左手でぐりぐりと撫でた。



【黒い英雄と竜の右目】
(焦ることはねぇ、)
(だって)
(時を操れるのなら、望んだ時間に帰れるんだろう。だったらお前が焦る必要はねえだろう)
(…………………ホントだ、コジュウロウ凄い)
(年上を呼び捨てにするんじゃねえ)
(コジュウロウ、さん)
(それでいい)
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