スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

むくちなひつじ

※野良熊
※差別用語注意
※なまぬるえろい
※病んでる。誰がとは言わないけど病んでる。

















私の根幹は軽薄な人間であるので、縛り付ける愛情がとても好ましいのです。
何処へ行くんだ誰と行くんだ何をするんだどうしておいていくんだあれは誰此れは何浮気は許さない俺だけを見ろ俺のことだけ考えて俺だけを愛せ、アルコールの臭いを撒き散らしながらそう言った恋人に骨が軋むまで抱き締められると幸せになります。
満ち足りた優しい心で、そうかそうかそんなにも俺を愛しているのかと私は大層愉快な気持ちになるのです。


【おもいあい】


クリス・レッドフィールドが姿を消したとの報告を受け、男が取った行動は実に簡単なものだった。
有給消化の願いを提出し、自身もまた姿を消したのである。
居なくなったαチームの隊長と違い、デスクワーク中心の上役であった男の、失踪にも近い長期休暇に、BSAA極東支部日本支局の誰もが意識を払うことはなかった。


痕跡を辿り、探り当て、酒浸る男の懐にするりと入り込む。
くたりとカウンターへ突っ伏す巨体を優しげな態度で丸め込み、たらし込み、男の存在を刷り込む。
曰く味方であり、理解者であり、お前には俺しかいなく、俺にはお前しかいないのだ、と。
毎夜毎夜狭くて小汚ない酒場のカウンターで顔を突き合わせ、毒を染み込ませるように愛を囁いてそれだけを真摯に伝えた。
すると元から恋人であった者同士、大した障害もなく男は野良熊と呼ばれる厄介者の恋人の位置へ収まったのだ。
酒代が足りないと請われれば与え、怖い怖いと怯える熊のような男を抱きしめ、慰め、本能の赴くままにセックスをして、惜しみ無い愛情を注ぎ、際限なく甘やかす。
記憶のない男が恋人を思い出すことはなく、思い出されない男もまた思い出さない相手へ何一つ教えてやらなかった。


太い首筋へ噛みつくと堪らなくなったのだろう男から息が漏れた。
モスグリーンのタートルネックで隠されたそこには大小様々な所謂噛み跡と呼ばれるものが点々と散らばっている。
あるものは瘡蓋になり、あるものは赤く腫れ上がり、見ているだけで痛そうであるのだが、当の熊のような男は増える所有印にただただ嬉しげに、野太い声で切なく喘ぐだけであった。
むっちりとした胸の筋肉へ指を埋め込ませる。
女の胸を揉むようにやわやわと、強弱をつけ愛撫すれば、飾りでしかない筈の頂がぷっくりと芯を持ち始めた。
色素の沈着したそこを舌でねぶる男の片手が、組み敷かれていた男に捕らわれる。
どうした、と尋ねれば、頬を上気させた熊面がとろんとした瞳で男を睨んでいるではないか。


「…お前、あれだ、あー、昼間の、」


だれだ、あのガキ。
苦々しく呟かれた言葉に男が首を傾げると、業を煮やしたらしい巨体が素早く身体を反転させ男を組み伏せた。
セーターを脱ぎ捨て、ベルトのバックルを外し勢いよく引き抜く。
馬乗りになった巨体の重量を堪能していた男は、唾液でべたべたに濡らした自身の指を後孔に突き立て掻き回し始めた恋人に我知らず喉を鳴らした。
場末の安宿の粗末なベットでは大柄な男二人を支えきれないようで、あ、あ、と蕩けた声でだらしなく啼きながら尻孔でくちゅくちゅと自らの指を貪り、腹に付くほど反り返った逸物から先走りを迸らせる熊面が腰を揺らし跳ねる度に古ぼけたスプリングがぎしぎしと悲鳴をあげていた。


「あんたみたいな、ん、変態ジャップに…わざわざ股開いてやる物好きは…っ、俺、一人で十分だ」


さっさとそのおったてたブツを突っ込みやがれ黄色猿が。
聞くに耐えないスラングで相手を罵り嘲り笑う巨体へ、男は触れるような口付けを落とした。
威勢の良い口とは裏腹に、暴言を吐いた筈の男の方が傷付いた表情をしているのだから可愛くてしかたがない。
熱く絡み付く腸内に感嘆の息を漏らし、巨体の腰を鷲掴む。
探らずとも体に染み付いた恋人の良いところだけをがつがつと突いてやれば、男らしい厳つい顔が快感に濡れた。
そこ、いや、いやだ、ゆるして、と嘯きながら、乱れる男の丸太のような腕は逃がさないとでも言いたげに恋人の背中へと回される。
じわ、と。
言い表し様の無い喜色が男の胸を覆った。


無法者には勿体無いと評判の魅力的な恋人が、いつ自分に愛想を尽かしてしまうのか不安で仕方がないらしい記憶喪失で乱暴者で厄介者で嫌われ者の野良熊は、こうしてたまに八つ当たるように恋人とセックスをする。
お前に構うのは俺だけだ、だから俺から離れるな。
気持ちいいだろう堪らないだろう具合が良いだろう俺は良い男だろうお前みたいなジャップを愛してやってるんだ同じように俺を愛せ俺だけ見ろガキなんて相手にすんな俺から離れるな何処にも行くな死なないでくれ俺を俺だけを俺だけを俺の傍に。
ユーゴ、ユーゴと己の名を呼びすがり、泣いているんだか啼いているんだか判らない口調で酔ったように繰り返し繰り返し慟哭する恋人を、男は心の底から愛している。






こころのそこから、あいしている。



【重い愛】



前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2014年02月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28