「腹減った」
声に出した所で答えてくれる人もなく、茜色に染まる廊下に上履きの音だけが木霊する。
テスト期間の学校は閑散としていて味気ない。
ふわりと薫る甘い匂いに誘われ唇の端を舐める。
もしかしたらと期待した味が口内に広がるわけは当然無く、何とも言えない感触がじわりと舌を侵食する。
味覚を阻害された不快感と、今なお漂う果実の名残が部活終わりの空腹に拍車を掛けた。
さっさと用事を済ませてしまおう
目当ての教室のドアをスライドさせると、見知った人間の珍しい姿に遭遇した。
「…今まで寝てたのかよ、真田」
「……む、斉藤か…少し寝入ってしまったらしい」
「いくらお前が馬鹿だからって風邪引くぞ」
「貴様に言われたくなど無い。だいたい貴様はいつもいつも制服をだらしなく着崩しおって…たるんどる…っ!?」
ああまた長い説教が始まるな、と。
半ば聞き流す体勢を整えた斉藤を後目に、当の真田は眉をひそめ口をばちりと手で押さえた。
以降微動だにしない巨躯を訝しみ、名前を呼び掛ければ一言くぐもった声音で『唇が切れた』、と。
「……起きがけにあんな開けっぴろげりゃ切れもするだろ」
「あけっ…!?破廉恥だぞ斉藤!!」
「…今の会話でその考えに行き着くお前の脳みそがハレンチだよ、このムッツリさんめ」
「貴様っ!!」
照れているのだろう真田の耳は真っ赤に熟れ、あまり可愛くもないが目尻には朱が射している。
どうでも良いが声のボリュームを落としてはくれないだろうか、もしくは口を閉じてくれれば申し分ないなぁ、と。
掴み掛かられた胸元を鬱陶しげに眺めた斉藤は、如何にも面倒だと言わんばかりのやる気ない表情で真田の襟首を引き寄せた。
驚く真田を置き去りに、唇の表面から口内にかけて残っていたリップクリームをこれでもかと擦り付け、真田の其れと馴染ませる。
ちゅ、と。
離した箇所から鳴る可愛らしいリップ音と情景がここまで乖離しているのも珍しい。
置きっぱなしにしていた電子辞書を鞄に詰め込み、斉藤は腰を抜かしたらしい真田に気付かれぬようひっそりと笑った。
(匂いしか気に入ってなかった使いかけのリップを厄介払いした翌日)
(真っ黒クロスケに何を吹き込まれたんだか知らないが、『男らしく接吻の責任を取れ』と真っ昼間からオッサン顔で教室に怒鳴り込んできた真田と鉢合わせた日には腹を抱えて爆笑した)
(ヤベ、俺こいつ好きかもしんない)
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発掘したので載せてみた
唐突に真田
【松永】
「幽閉か…する方が好みなのだがな」
「こっち見んな」
「卿もまた一つの宝…」
「だからこっち見んなって」
「…いい具合だ」
「袴の間から太股直に撫でられたの初めてだよ畜生。助けて小太郎たまに甲が局部をかする」
「……(無言の圧力)」
「ははは、些末些末」
発売発表時からとっても楽しみにしてました宴の台本全集ゲットしましたヤフー(=´∀`=)
個人経営の本屋で予約、ワクワクしながら受け取りに。
レジで人が詰まってたので、攻略本の棚を物色していたら、一冊同じのを見つけ密かにニヤニヤしました。
レジが空いたので「取りに来ました」と告げると、
「ごめんねー配本なかったみたい」
ダアアアアアアアアウトォオオオオオオ!!!!!!!!(°□°;)
いや其処に有るから!!!
探す気ZEROですか!!!!
てか取り置きしてください予約ってそういうことじゃないの!?
結局崖っぷちで売り出されそうになってた一冊を大事に抱えてお買い上げ…
頼むぜ店主…