※ちょいえろ、主×クリス








引き締まった尻を割り開けば、思いの外柔らかかったそこは握った指の形に歪んで、適度な弾力をもって食い込んだ指を弾きにかかるから堪らない。
あまり見るなと震える声で諌める男に下半身が重くなった。
お互い立場のある職で、久々の休みが重なった日なんて総じてこんなものである。

高まる期待に生唾を飲み込んだ男は、ベッドにうつ伏せで横たわる恋人の熊のような巨体を嘗めるように視姦した。
上背は大して変わらないというのに、驚くべきはその質量である。
文字通り丸太のごとき二の腕、分厚い胸板と広い背中、そこから下がると見えるわずかな括れがこれほどまでに厭らしい物だとは、誰が想像できるだろうか。
どっしりとした腰、出っ張った腰骨、肉感的な尻の後には筋肉の塊である太い脚が続いている。
むにむにと遠慮なく尻たぶを揉みしだけば、年嵩のある雄の甘い嬌声が耳朶を擽り、男の欲望が燃え上がる。
枕に埋められた無精髭だらけの熊面が小さく唇を尖らせ、まだかと問えば、いただきますと言うしか他に道はなかった。
二十代から恋人だけを銜えさせ続けた巨体はもはや男の物でしか有り得ない。
逆もまた然りである。
恋人の甘い味を知ってしまった男には、そんじょそこらの薄っぺらい身体には何の価値も見出だせなくなっていた。
それを長年の腐れ縁による弊害と見るか、ロマンチックに飾り立てるかは二人の問題である。


「起きたかクリス、朝飯できてんぞ」
「んっん…ユーゴ、ノドが枯れた…」
「やっぱりか、4回は無理があったよな、悪い」


ほら、レモン水。
ラフな格好に黒色のギャルソンエプロンを身に付けた男とは対照的に、クリス・レッドフィールドは下着姿のままシーツにくるまっていた。
たしかお互いに一ヶ月ぶりである肌の触れあいにテンションが上がり、抜かずに何回か、それからクリスが強請り、男が貪り、さらに回数を重ねて最後は気絶したのだ。
脂の乗った男盛りとはいえ、年甲斐もなく。
なんとも言えない気恥ずかしさを誤魔化すため受け取ったレモン水を口に含むと、痛めた喉をするりと下っていく優しい温度と爽やかな口当たりにクリスは気の抜けた息を洩らしてしまった。
パートナーである日本人の男は細かな気配りが矢鱈と上手く、大雑把な自分から見れば羨ましいぐらいなのだ。
料理も美味い。
給料日前の弁当など、その最たる物である。
漂ってくるベーコンの良い薫りにハナをひくつかせ、クリスはレモン水を飲み干した。


「シャツとジーンズは出してあるからな、シャワー浴びて着替えたら食いに来いよ」


フライ返しを片手にひょこりと頭を出した男へおいでおいでと手招きすると、困った子供を見るような眼のパートナーがクリスの頬へ唇を落とした。
そのまま小鳥が啄むように瞼、鼻、額とバラバラに唇は動き、耳を食まれてクリスの肩が揺れる。
最後は唇でしっかりと止まり、二三回重なって吸われてリップ音で終わりを告げられる。


「冬眠が長すぎるんじゃないか熊さん」
「陰口なら叩かれるが、真正面からだと…」
「嫌か」
「ユーゴに言われるなら悪くないな」
「髭も適当に剃れよ、」
「キスする気も失せるか?」
「いや、お前なら悪くないな」


さっさと来い、冷めるぞ、と。
笑いながらキッチンへ踵を返した男の腕をはっしと掴み、耐えきれないと言わんばかりにクリスが口を開いた。


「ユーゴ、嫁に来てくれ」
「イヤお前が嫁だろ」
「そうだった、」


良いからさっさと行け。
送り出そうとした男がはたと動きを止めた。
少し考える素振りを見せ、クリスを横抱きにシャワールームへと向かう。
重くないかとはお互いに気にしていない。
この程度で音を上げるような力の持ち主ではBSAAで隊長職など任されはしないのだから。


「動けないだろ」
「…なんてことだ。ユーゴ、立てそうにない」
「洗ってやる、下心ゼロで」
「淡白だな」
「口とケツで散々絞り尽くしたのお前だよ…出ねぇっつの」


ゴチソサマデシタ。
男の首に丸太のような腕を絡め、片言の日本語でそう言ったクリスは、微妙な顔でどういたしましてとぼやいた愛しい恋人の唇へちゅっと噛みついた。


【むくちなひつじと森の熊さん】

「クリスー、ポップコーンキャラメルと塩バターと醤油バターどれにする」
「良いんじゃないか、全部で。どうせ食べるだろ」
「飲み物はビールあるからな、あとワインとウイスキー」
「久々にゆっくりしよう」