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ぐんないベイベ

※頭沸いてる坂田と諦めつつある医者(女)







あっちへふらふら、こっちへふらふらと飛び回る男に、女は隠すこともなく大きな溜め息を吐いた。
薬物の事なら医者が要るだろうと引っ張り出されて吉原くんだりまで下りてきたは良いものの、天人の惚れ薬騒動でただでさえ厄介な男が手の施しようがないほどに頭パーンしてしまっているのだからやる気もなにも削がれると言うものである。
やたらめったら甘い言葉を吐き、老若問わずベタベタベタベタと絡みまくる阿呆に出せるものといったら溜め息しかないではないか。
薬物に耐性がある男でも、神経に直接快楽を叩き込まれれば弱いのだな、と。
そう結論付けた女は、込み上げるあくびを噛み殺し、銀色のクルパーへ「ダーリン酷いじゃないですか私と言うものがありながら」と抑揚の無い声をかけた。


「寂しかったのかいmy sweet。心配するなよ、俺はお前だけの患者だ……」

「ごめんなさい頭の方は専門外なんで別の病院紹介しますね。お大事に坂田さん」

「照れるなよ坂田さん、俺たちゃ歴とした夫婦なんだからよ」

「離婚しましょうダーリン」

「妬いてんのか?可愛いねぇ俺の嫁さんは」


夫婦の絆を深めようぜだのなんだのとほざきながらも、腰に回された男の固い腕は外れそうもない。
あらんかぎりの力で逃れようとするも、夫婦=合法的に何をしてもOKとインプットされている男のセクハラは止まることを知らないように酷さを増していく。
妻の唇にちょっかいをかけつつ、片手間に道々の女へ声をかけては口説いていくのだから、男の無用な器用さには舌を巻く。
とは言え、口説くだけで本当に手を出そうとはしないところが、この男、坂田銀時らしいところではあるのだが。

もとより力で敵うことなど出来る筈もないと抵抗を止めれば、男の腕はますます強く女の体を拘束した。
ハニーハニーと甘ったるく周囲へ愛想を振り撒き、あらゆる女に色気を撒き散らし、これでもかとセクハラ下ネタをばらまく癖に、愛しげに触れるのは腕に囲った女だけ。
すがり付くように鷲掴まれ、離すまい逃すまいとその腕に捕らわれている女にだけ、男は何度も薄い唇を寄せた。
何時だったか、もう手放したくないのだと苦しげに呻いた男の声がふと女の脳裏に甦る。

薬に酔った死神太夫の複雑そうな表情へ苦笑を返し、女は三度溜め息を吐いた。





(仕方ないからK点越えだけは許すけど四方八方への口説き文句には異議を唱えるぞ)
(エクストリームスライディング土下座をする様が目に浮かぶようだった)




さすがに老人は守備範囲外でしたか銀さん。
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