物言わぬ抑止の守護者へと愛を囁く。
光の無い目を見つめ、傷付いた手を取る。
「アーチャー」
「覚えてないだろうけど、俺はお前のマスターだったんだ」
「最高のパートナーだって、お前も言ってたんだぞ」
「道具マニアだってことも知ってるし」
「奉仕体質だってのも知ってるし」
「お互い女難だって笑ったりもした」
「人類を守りたくて、アーチャーが自分から此処に来たことも知ってる」
「だから、【助けにきた】訳じゃない」
「完全に俺の我が儘だ」
「アーチャー、」
「また、俺を選んでほしい」
「アリーナを駆け回ったときみたいに」
「月の裏側を駆け抜けたときみたいに」
「セイギノミカタに最低なことを願ってる自覚はある」
「けど、お前なら解るだろ?」
「俺、大概諦めが悪くてしつこいんだ」
「なあ、アーチャー」
また、あの日のように、
全-ジンルイ-と、一-オレ-を、天秤にかけてくれないか。
(こんどはおれが、あたたかくてやさしいおまえを、まもるから)
(だっておれは、せいぎのみかたのみかた)