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ssすけべ



呑みすぎにも程がある、と。
痛む頭を抱えつつ、男は右目へじっとりと非難をこめた視線を流した。
今年初めての米で作ったと言う、とっておきの濁酒を引っ提げ自室を訪ねた小十郎に座を勧め早一刻。
いつになく早い調子で御猪口を空にしては注ぐを繰り返す小十郎の焦げ茶の眼が、苦笑しつつちびりちびりと濁酒を舐め飲む男を捉える。
俺の酒が飲めねえのかと常套句を洩らし、小十郎は男との距離を詰めた。
困ったように笑う男の頤に指を添え、上を向かせる。
よく見りゃ可愛い面してんじゃねえか、と。
常ならば決して口にしないであろう口説き文句を投下し、小十郎は男を石化させた。


「か…可愛くはねーだろ小十郎」


欠点を探しようのない面の皮を端正、美麗などと讚美されたことは多々あれど、可愛いと言われたことなど無い。
己の容貌には可愛いの"か"の字も見当たらない筈なのだが、一体この右目は何をとち狂っているのか。
男は片頬を引き吊らせ、然り気無く小十郎から酒瓶を遠ざけた。
離れた酒瓶など気にも止めず、小十郎は固まる男を熱の籠った目線で舐めるように見る。
例えば何処がと落とされた呟きに、右目はいささか昂り気味に口火を切った。


「組み敷いた時に怖じ気るが、その顔が堪らねぇ。襟を開いても下帯に触れても良い顔をする、だが一等は尻穴に魔羅を宛てたときだな。何度抱こうが生娘みてえに怖がりやがる。可愛いじゃねえか、図体のでかい男が縋り付いて嫌嫌言いながら」「黙れ小十郎マジ黙ってくれ格好よくて男前な俺の理想像が粉々に粉砕される!!」


ぎゃあと叫び右目の口を塞いだ男の顔色は、好き勝手暴露される褥事情に青ざめたり赤くなったりと忙しい。
頼むから黙れと懇願するも、酒気で蕩ける右目の耳には男の願いは届かなかった。
べろり、と。
生暖かく湿った肉に掌を食まれ、男は総毛立った。


「酔っぱらいめ、」
「酔ってねえ」
「酔ってないって言う奴ほど酔ってんだ、ばか」


唾液にぬるつく掌を着流しへ擦り付け、男は弱々しく息を吐いた。
いつの間にか身体を這い回っている小十郎の手に身動ぎ、男はまたかと内心で涙する。


「なあ、今日は止めないか」
「安心しろ、下上下だ」
「なにそれ俺だけ重労働」
「おい來海、小十郎完璧に正体無くしてんぞ」


首筋までをも朱に染めた男に、嫌なのかと凄みを効かせる右目は、いい加減部屋の隅で居心地悪そうに盃を煽る主に気付くべきであろう。


「ちょ…何とかしてくれ政宗!!」
「こうなったらもう無理だ、喜多か綱元を呼ぶしかねえ…」
「止めて呼ばないでまた切腹とか言い出すからスゲーややこしくなるっ…わ、ちょ、小十郎頼むまっ、やめ…っ」


段々と露になる男の白く滑らかな肌をちろりと盗み見つ、政宗は良い笑顔で男を見捨て襖を閉じた。


【Good luck!】






(下上下)…一回目で受け、二回目に攻めて、最後にもう一回下になる、受に優しいリバースローテーション。別名小十郎まんぷくコース。
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