「卿は…、良く解らんな。老獪であり幼稚……、其処に在るようで、その実何も無い」
「あんた、面白いな。曖昧だ。歴史も人間性も何もかもぼやけてて……深い、暗い沼…いや、良く磨いた鏡を見てるみたいだ」
「愉快、愉快……正に同じ事を思っていたよ、」
「俺は不快だけど」
「卿は私に何を見る、」
「……良く燃えそうな枯れた爺さんが一人見える」
「片意地が張っているな……いや、結構、結構」
「アンタは俺に何を見る、」
「差詰め美男の皮を被った鬼と言った所かね、……膨れる事はない、私は卿が好ましいよ」
「嘘だね、」
「それは何故、」
「アンタは大人だ、大人は漏れ無く嘘つきだ」
「は、は…!ああ、その通りだよ死神の、大人は嘘を吐く。だが…」
「なんだよ」
「私はそれ以上に美しいものが好きなのでね、嘘はこの次にしようじゃないか」
「なら今から何をする?」
「奪ってみるかね、この私を」
「………いいね、それ」
「実に楽しみだ」
混ぜるな危険の代名詞