声が、聞こえた。
聞こえる筈の無い声が、見える筈の無い景色が、ありうる筈の無い未来が、形を亡くした体へと雪崩れ込む。
たゆたう意識に飛び込むのは、膝を付き慟哭する紅い男が一人。

なぁアーチャー、どうして泣いているんだ。
お前の大事なあの子は無事じゃないか。
地獄に落ちても忘れられなかったと、特別な相手なんだと言ってたじゃないか。
だから、任せた。
なのに、どうして、


皮肉屋なサーヴァントは普段の自分をかなぐり捨て、何故、どうして、と只ひたすらに嘆き狂う。
崩れ溶けた胸の辺りが痛んだ。
ああ、俺は間違えてしまったようだ。

ごめん、と呟いた言葉は、立ち上る泡となって弾けて消えた。





【はい、もう一回】
(次は、間違えたりしないから)




「全く、私のような役立たずを呼ぶ大馬鹿者は、お前以外には居ないよ」
「そうだな、また、よろしくアーチャー」