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sss忍BASA



仕様がないなと呟き、男は眼前にぽかりと口を開ける大穴に手を差し伸べた。
穴の底に不自然な形で収まった二つの影は日に照らされる男の姿を眩しそうに眺め、涙やら何やらでぐちゃぐちゃになった顔を笑みの形に歪める。


「万吉、伊作くんをそうしょっちゅうお前の不運に付き合わせるんじゃない」
「鷹千代ぉ…小生だって別に付き合って貰いたいわけじゃないぞ」


穴の底でいじける相手に軽口を叩きつつ、土で汚れた緑の装束を軽く払い白い頬に付いた泥を拭えば、くすぐったかったのだろう、伊作と呼ばれた猫目の少年は緩やかに笑った。


「あ、いえ…あはは、いつもの事ですから」
「お前さんと居ると何時もより不運なんだよなぁ…何故じゃー!」
「…おい万吉、厄当たりは止めておけよ」


微かに振動する足元に忠告するも、悔しがる相手には聞こえていないのだろう。
穴の中で鉄球に八つ当たる古馴染みに溜め息を吐き、男は伊作へ柔らかな視線を向けた。


「大川殿に頂いた茶菓子があるのだが、」


甘い物は嫌いだろうかと微笑む男の髪が、麗らかな午後の光にきらきらと輝く。
一枚画のような光景に暫し見惚れ、気が付けば伊作は好きですと口にしていた。
無論甘い物がと言う意味だったのだが、これではまるで想いを告げているようではないか。
首筋までをも朱に染め、わたわたと口ごもる伊作を微笑ましげに見守る男の背後でどさりと重い音がした。


「わー!!官兵衛さん!!」
「馬鹿だ阿呆だと思ってはいたが此処までとは……万吉、ただでさえ不安定な落とし穴の中で暴れれば壁が崩れる事ぐらい予想できなかったのか」
「影信さん冷静にしてるバヤイじゃありませんよ!官兵衛さん今掘り出しまっ…きゃー!?」


お前はどこぞの乙女だと問いたくなる断末魔を上げ視界から消えた伊作に苦笑を零した。


【ぶらざー、いず、まい…ん?】



石田兄+α→忍たま
官兵衛に巻き込まれ大阪城の階段を転がり落ちたらいつの間にかトリップ。
官兵衛さんと伊作は絶対に出会ってはいけない人。

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