なんとまぁ脆いイキモノなのだろうか。

散歩の途中に見つけた死にかけの子供を見詰め、ポッポは溜め息を吐く。
枯れ木の虚に縮こまり小さな身体を更に小さくする人間の子供は、時折ポッポの住処であるシロガネヤマにやって来る"人間"の印象とは大きくかけ離れていた。
ああこれが進化前の人間なのかとアタリを付け、ポッポは子供に近付いた。
進化前であるならば危険視することもない。


怯えの色濃い双眸、塩辛い涙の匂い、かじられた跡のある雑草が散らばっている。
可哀想に、腹が減ってその辺の草を口に入れたのだ。
この草は不味いばかりで、毒にも薬にもならない。
生まれたばかりの雛だって親に教わることだと言うのに、なんと無知なイキモノなのか。
さぞかし苦かったことだろう。可哀想に。



人間だろうがポケモンだろうが子供は子供。
大人は子供を守るもんさと一人ごち、目ぼしい餌を探すためにポッポは翼を広げ森の奥へと飛び立った。


はてさて、人間は一体何を食べるのだろうか。



○ポッポ♂Lv:56
○棲息地:シロガネヤマ
○NN:ラウムさん