スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

sss





季節を間違えたらしい惚けた太陽が爛々と大地を照りつけ、日に焼けた男の首筋を汗が伝う。










―――俺、ごぼう嫌い、つか野菜嫌い、肉くれ肉

―――うるせぇ、黙って喰え!!










立ち上る陽炎に目を細めて鍬に寄り掛かり、一息吐いた男は湿った手拭いで額を拭った。









―――喰えるじゃねぇか

―――うー…、でも、

―――あ?不味いとか抜かしやがったら……

―――違う違う、美味いよ…………って言うか…多分…、












散々記憶に蔓延り、そのくせ年々腐蝕する腑抜けた笑顔。

視界を覆う緑と、噎せ返るような土の匂いに、くらりとした。
















―――テメェのために残してやってんだろうが、


―――余るんだよ、


―――さっさと喰いに来い、












「………馬鹿野郎、」










過ぎ去りし夏に逝きそびれた蝉の、悲哀に満ちた断末魔が、赤く色付き始めた木々の間をすり抜けていった。















(お前の作った野菜だから喰えてる……………のかな?)

(…………俺に聞くな)



続きを読む
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2008年10月 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31