おひめのおすすめ

おひめの好きなもの


宜興紫砂の茶壺で淹れた桂花烏龍


庭のハーブ


正絹の敷物


山葡萄の籠


柘植の櫛


………………………………。


高価なものである必要はないが作りの丁寧なものでないと露骨に怒られるから………………………金山まで完全予約制で茶葉の仕入れに行かないとダメか(-_-;)


チンジュナイチャも茶葉が手に入らなくなって久しいからなぁ。


何しろ日本語では何て入力したら変換するのかわからないくらいマイナーな茶葉だ。


全世界言語統一は立派なペナルティだと思っているわたしでも漢字くらいはどうにかして欲しいと思う。


フツーに後輩の苗字も変換しない字あるから日本語も怪しい電話帳になってるし。


お。


ぐれちゃん、レモングラスのリース作ってくれるみたいだよ。並んでみよっか。


ギリギリのところまで来てダメモトで並んで束ね方の巧い人の技を見ていたら『あ、ここまでは足りるかな。此方の方で最後で』と言われ、『最後の人はオマケね』と金銀の松ぼっくりと水引紐で飾りをつけてもらった。


ぐれちゃん昨日ビューティープロ300円くらい値下げさせたでしょ。………………………今なんかした?(  ̄▽ ̄)


山葡萄の財布なんて一生のうちにそう何度も買い換えるようなもんじゃないものも2万円くらい値切ったよね?


ま、よかったね。ぐれちゃんの好きなイイ匂いがするからぐれちゃんとこに飾っとこうね。


おひめのときめき力によってラス1勝ち取って来たレモングラスのリースは、霊前に供えておいたら交代交代カジりに来る奴等がいるのだが、ふぇーたんは一番若いくせに歯が弱いので、獣医に『痛がってない?』と言われたのでじっくり考えてみたが、『や、カリカリも缶詰もマグロもフツーに食べますね。強いて言えば他の子より丸飲みが多いからマグロは細かく叩きますけど………………そんなことよりコイツそんなに歯悪いのにめっちゃ繊維の強いイネ科のレモングラス噛ってますけど!それは大丈夫なんスか!?』というところに着地する。


なんかうちのねこ健康診断いつも草が好きすぎてコイツ大丈夫?しか相談してなくね?


そしていつも『それはこの子のいいようにでいいよ』でブン投げられる………………。


ぐれちゃん、おねいちゃん箒をおやつにする男にそろそろ新しいホウキグサを買ってやりたいのだがね、やっぱりそういうのって東北の職人技じゃないとダメなもんかいね?


ちょっとその輝くばかりに愛くるしいステッチのおててで年末ジャンボ招いてもらえないもんかね。

ねこのゴロゴロ玉は骨を癒す周波数だというが………

ねこのゴロゴロ玉は骨を丈夫にするというのは有名な話だが、ぐれちゃんは痛いところと反対側の肋骨に顎枕をして体内を振動が伝って患部に届くことを知っていて肋骨折った時は添い寝してくれる子だった。


ぐれちゃんの顎くらいで死にゃしねェのに、患部に直接重量をかけることを嫌って必ず反対側の肋骨を顎枕にして添い寝する。


音は振動であることをきちんと理解している、賢く優しく、おしゃべりとお歌の上手な子だった。


何もそこまで気配り上手にならなくても、と思うほど周囲が本気で心配しすぎて衰弱する前に静かに息を引き取った。


うちでシーバを好むのは彼女だけだった。


シナモンには先に逝った近所の仲良しのれおちゃんと分けるようにと小分けのカリカリをたくさん持たせた。


お寺さんに止められないものは貴金属の塊でも着けてやった。


これはわたしが作ったネームプレートで銀地に金箔を焼き付けて合金化している、この子が最期までお気に入りで下げていたものです。それを取り上げるなんてとんでもない!


………………………半ば強引に持たせた。


800℃は何時間もかければ融解はしても貴金属が完全に消滅する温度ではないはずだが、お骨を拾った時にはなかったので、大事にしてくれすぎてしっかり持って逝ったのだろう。


大好きなシーバと、シナモンの時にはまだなかったちゅ〜るを持って行きなさい。


ロイヤルミルクティ色のおじさんが一緒にいると思うが、そのひとはシナモンのお友達だから、みんなで分けるんだよ。


知らないおっさんに会ったら親父に土産は特にねェとお母さんとおねえちゃんに言われたと伝えればよい。


ぐれちゃんの大好きな深紅の赤身も持たせたいところだが、人間も食べるものはクソ親父と狂犬叔母に巻き上げられては、この子達の疑うことなき無限の優しさに傷がつく。

享年18歳

気高く咲いて美しく散ることを選んだレディは、一昨日から何も食べないので点滴の一本も打ってもらおうと病院に行く途中眠るように旅立ったようだ。


断末魔ひとつあげずに、最後に聴いた声はいつも通りのむーむー。


つい金曜日に病院に行ってきたばかりだと聞いたのはわたしが診察から戻ってからだったが、その前夜にいつもと異なる挙動をしていたので気になっていたことはあるので、獣医さんに行くならわたしが診察に行く前に言っといて欲しかったかな………。


そんなわけで明日の朝葬儀が入った。


わたしの予定ではわたしの葬儀を挙げるのはうちの猫又達になる予定だったのだが、気高く咲いて美しく散るレディにいなくなられると、くさむらに名も知れず咲いている草しか残らない。


どのくらい名も知れず咲いているかというと、『おい、足元チョロ男!』とか『おい、ヒモ男!』とか言われるくらいだ。


ヒモというヒモというかチラチラするもの全てにねっころがったまま不精ったらしくちょっかいをかけているか、行く先々で足元をチョロチョロして足払いをかける。


あとカニ女。


このメンツしか残らないのは正直絶望的だが、籠に敷いたペットシーツの上で眠るように静かに旅立つ貴婦人の嗜みには敬意を表する。


シナモンを亡くした時の嘆きを彼女は覚えていたのだろう。


わたしを哀しませないために絶対に散り際を見せなようとしなかった気高く心優しい淑女。


大好きなシナモンには逢えただろうか。


共倒れしてしまわない程度に少しくらい介護をさせるのも、名残を惜しむ大切な時間なのだとシナモンは教えなかったか。


本当に何ひとつ煩わせずに逝くつもりなのか。


わたしの肋骨全治2ヶ月を2週間に短縮した回復術のスペシャリストが、わたしには本当に何も世話をさせないつもりなのか。


どんなに鬱を悪化させても、足元チョロ男とカニ女の栄養管理をしなければならない奴隷に追い腹は許されない。キミがそれを知らないはずはないと思うが。


わたしは本当に大切なものを亡くした時しか涙は流さない。


たとえそれが世間的には悲しむべき時だとしても、悲しくないものは偽らない。


ずいぶんたくさんの人間を見送ってきたが、ニンゲンには遂に誰一人成し得なかった。


栄誉ある三柱目の氏神だ。


おそらくわたしが獲得すべき器に人間は一人もいないのだろう。


それだけの刺激、嘆き、慟哭を伴う死に直面するのは、たぶんねこしかいない。


だがあまりにもあっさり逝かれすぎると、キミを最後に抱っこした瞬間を、20年先まで覚えていられるか………。


後ろは振り返らないことにしています。


どんなにかけがえのない者でも、いない者はいない。


量子力学的には、分子になっても彼女という存在がこの宇宙から消えて無くなるわけではない。


キミを構成していた分子を、存分に呼吸することでキミを忘れずにいられるなら、スーハースーハーしますとも。


ただシナモンの命日11月1日と違って今バカみたいに暑い。


気ィ遣いィのぐれちゃんはお盆で菩提寺が慌ただしいシーズンをを巧く避けたようだが、全体的に暑いのでスーハーしたら腐敗を早める。


お腹だけは明日の朝まで冷やしておくように菩提寺に厳重注意を受けた。


ぽんぽスーハーしてる場合じゃない!


とりあえず今のうちに最期の添い寝をしておくか。明日早いし。

ユキヒラをとなえた!ふたごのケットシーがせんとうにおどりでた!

立ち別れ
いなばの山の
みねにおふる
まつとし聞かば
今帰り来む

………

………

………。

うちのちい姫様が帰ってこねぇ………。

わたしは教会で生き返らせるのが薬草代より安いような、派手で役に立たない魔法使いでいたいのに、ねこずきの間に代々語り継がれる地味な伝説の呪文を連発したためMPが足りません。

所詮三十一文字なので詠唱に時間がかかる呪文ではありませんが、発動するまでに4日かかりました。

そして最終的に解決してくださったのは天神さまであってわたしの全身全霊のMPは全力で高速スピンの空回りをしただけ。

薬草より安い魔法使いなんで…。

おひめがいなくなって5日目の土曜の朝、かくなるうえは天神さまにお願いにあがろうと5時に起きた矢先に、まだ詣でてすらいないのに先払いで願いを聞き届けてくださった天神さま。

遂にうちの無口なおひめにも『腹が減ったら声に出して女中を呼ぶ』という知恵が…!(そこからですか)

おひめに食事を摂らせて寝かしつけ、朝一番の天満宮に行って土下座してお礼申し上げる。

土地柄最初の土曜日というのは運命の分かれ道で、土日の遊園地が開く時間になってしまうと普段通らない車の通行量が増える場所なので、土曜の早朝遊園地が開く前に家に帰していただけたことには神の加護を感じずにはいられない。

めぐりあひて、みしやそれともわかぬ間に雲隠れするはぐれメタルのような子ですが、もはや家の中に居てさえくれれば何処にふんごまっていようと構いません。

だいぶ志が低くなりました。

夜中に人のみぞおちを蹴らないとか、夜中に爆発音を轟かせないとか、カーテンを破らないとか、本棚の絶版本の背表紙をボロボロにしないとか、主電源を猫リセットしないとか、タブレットを瓦割りしないとか、もう少し落ち着きが出てくれればとか、そんな贅沢は言わない。

健やかで事故や迷子の心配がないところにいてさえくれればいい。

くろいまなざし

丸一日の攻防戦の末、微少女を捕獲。

獣医用語で保定ネットと呼ばれるらしい、まあ洗濯ネットですが、なるべく狭い部屋に追い込んで戸を閉め、首の後ろを軽く押さえながら(ここを支点に抱えあげると首を傷める可能性があるため添えるだけ)ネットをかぶして捕獲。

おかーさんふぇーたん捕獲!先生に電話!

言い終わる前にネットごと脱走。

これに再度エンカウントし捕獲し直してネットごとステンレス製の頑丈なケージに入れて出撃準備完了。

途中でネットが破れたら最初からやり直し。

ちなみに他の二人は竹の市場籠でおでかけ。

ステンレス製のケージが必要なのは、この微少女だけ移動パターンが5次元かつ力技の破壊力が桁外れだからだ。

これに微少女を入れるとケージというより虎箱という言葉がピッタリなので、正直このケージもいつまで猛攻に耐えられるか怪しいものだと思っている。

よく深夜に二階から爆発音がするので御近所から不審な目で見られているが、ねこがなんか悪さしただけなんで事件性とかないです。

ただでさえあんたの爆発音のせいで評判悪いんだから玄関開けた途端に保健所に連れてかれるみたいな声出すのやめていただけます!?

普段のやたらチュッチュしたがるアメリカンなラブラブぶりはどこへやら、新品の洗濯ネットを見た途端に野性が目覚める、医者に行く度にこのくりかえし。

百均の洗濯ネットはおじょんの抵抗に耐えられないため、これにより使い捨てされる。

そのためねこが嫌いなのは普段使っている洗濯ネットではなく新品の洗濯ネットに限定されている。

こうして二日がかりの予防接種史上かつてない長い闘いが終わった…。

当然医者の前では生来のやさしげな面立ちをフルに悪用し、儚げな美少女ぶってたが、なにげにネットにいくつか穴が開いているところが猫被り切れていない。

そうよね、あなた車で帰ってくると窓辺でさも深窓の令嬢ぶってるけど、傍らにかかってるボロボロのカーテンは全部あんたが切り裂いたやつだもんね。
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