★騎士と姫の語り

我が子らよ、サルーインが帰ってきます。
(略)
そのデスティニィストーンを持ち、サルーインを阻止するのです。

“あなたにできないのであれば、できる人を探して渡しなさい。
それがあなたの使命です。”



大いなる母ニーサの託宣に従い、何事もできる人を探して丸投げることにしている。

それがわたしの使命であるらしい。

他人の才能を見抜く才能にだけ特化されているので、自分では何もできない。

歌ったり踊ったりカリスマ振り撒いたりして他人のポテンシャルを引き出すくらいしか仕事がない特殊ユニットである。

支援系ユニットの役割は自ら剣を持って戦うことではないんです。

踊り子の使い方を誤ったままでは無駄に苦労するだけで得るものはありません。

月光剣があっても踊り子は踊り子だから、無駄なことすんな。

月光リーンが最大出力の勇者の剣で殴ったところで、月光リーンには追撃がなく勇者の剣の弊害で連続も出ないので、こんな火力でぺちぺち叩いても返り討ちに遭うだけである。

そんなことをしている暇があったらソードマスターとフォーレストとシーフファイターとセイジを再行動させてくれたほうがよっぽど気の利いた大量殺戮兵器になる。

前線に出るなってば、無駄な回復をさせるな。

己の兵種を履き違えてがんばりさえすればマスターナイトの働きができる気になっている踊り子ほどタチの悪いものはないので、わたしは一切がんばらないし戦わない。

己が役割である歌って踊ってカリスマ振り撒くことにだけ専念する。

リングと守りの剣はファッションだ。

そして生まれや育ちに関係なく全人口の約半数は本質的にそういう兵種なので、踊り子隊のみなさんは魔の無限行動に全力を傾け、決して自らマスターナイトになろうなどと血迷ったことは考えないでほしいと思う。

………喩えを変えようか。

珠魅族が『戦う者』と『癒す者』の二人一組で行動するのと同じである。

より正確に言うなら『守護する者』と『与える者』。

珠魅族は核が傷つかない限り悠久の命を持つが、ひとたび核を傷つけられると脆く儚い種族である。

珠魅の傷は珠魅の命を削って生み出す涙石でしか癒せない。

そのため珠魅族はかつて自らの命を分け与えながら生きる友愛の種族と呼ばれていたが、永きに渡る珠魅狩りの時代を経て分け与える力を失った時から、彼等は滅びに向かい歩き始めた。

与える力を授かった者は心痛むままに涙すればよい。

自身が満たされていない者に分け与えることなどできはしないのだから。

何処までも澄み渡る青ざめたフローライトの儚い劈開面を見る度に、蛍姫の尽きることなき心の豊かさを思い出すだろう。

騎士しかいない珠魅など滅びるだけである。

涙を捨ててまで何を守ろうというのか、小一時間問い詰めたい。

わたしが珠魅だったら、部屋でワンピース読んでるだけで何万人もの同族を救える自信があります。

ドラッグオンドラグーン2を一周走っただけで名医です。白い巨塔です。ドクターXです。

でも涙を流せる最後の一人である蛍姫に騎士の役割を求めたらどうなるでしょう。

戦うことに慣れるためには感傷を捨てざるを得ないでしょうね。

らびちゃんやおたまちゃんをザクザク切り裂いても屁とも思わない嗜虐性を持った蛍姫なら、一族を背負って立てるほどの泣き虫さんになれたでしょうか。

そういうのは好戦的で残忍なホモサピエンスにやらせておけばいい。

てか瑠璃君弱いんだから前線に出ないでよ!ノーフューチャーだってばよ!

心痛め、ほろほろ泣いている『だけ』の蛍姫だから、滅びゆく珠魅族の最後の生命線たりえたのではないでしょうか。

己の役割を正確に把握するって、三次元から二次元を見下ろすくらいの視点に立たないとなかなか難しいよねって話である。

フローライト

わたしが撮ってもあんまきれいそうに見えないんですが、とても不思議で美しいフローライト。

白いインクルージョンが入っていて

六角柱の面によってセラフィナイトに似ていたり

モスアゲートに似ていたり

かき氷みたいだったり

雪みたいだったり

飲み物にミルクが溶ける瞬間みたいだったり

覗く窓によって見える世界観が違います。

不純物が多すぎて通常なら研磨する部位ではないところを『試しに一本作ってみた』のをかっぱらってきました。

景色の見える石は好きです。

カリ城を観ると言いながらこんなものを探してた

中野サンプラザとサンプラザ中野の境界線が曖昧だ。

椿姫とヒメツバキの境界線も曖昧だ。

どっちかは人名なのだろうとは思う。

いや、境界線などないと言えよう。

もともと存在していない境界線を存在しているように錯覚しているのが人間の脳だということを、鉛筆デッサンで嫌というほど思い知らされたではないか。

まあ、どっちだっていいんですよ。

本質的にどうでもいいことを極限まで削ぎ落とすのは魚座の得意分野です。

同時に双魚宮は歌と踊りを司る宮でもあります。

だから中野サンプラザかサンプラザ中野かは覚えていなくても、『世界一のくちづけを』が合唱曲であることは正確に記憶します。

あれは1993年、サンプラザ中野………いや中野サンプラザ?で開催されたロックオペラ『ハムレット』のエンディングテーマです。

劇中歌はほとんど商品化されていないので、BSで放送された時の擦りきれたVHSと、そこから焼いたDVD-Rしか音源がありません。

それでも好きなのです。

商品化されてないので、いくら歌っても踊っても、ジャスダック?…いやジャスラック?の支配下から自由であり続けるすばらしい名曲の数々。

でもわたし、ToshIよりもリンダしゃんよりも閣下よりもローリー寺西よりも、一番好きな声がホレーシオのお兄ちゃんです。

ただ『憎い憎い怒りをぶつけろ、寒い寒い怒りに震える』が好きなんです。

ちょっと検索してみたけど、地味すぎてYouTubeでもカッツ・アイ!されている部分に心に残るフレーズがちょいちょい隠されています。

てかこの曲シナリオ上途中でクローディアスが止めに入る曲ですしね。劇全体をDVDにしない限りこれだけを聴くことは難しいんじゃないかな。

あと好きなのが『忘れっぽいのか飽きっぽい人か、あんなに愛した父を裏切って悪と欲望のナイフに抱かれる』です。

なんか鏡がキラキラしててキレイだなぁって………。

閣下は狂言回しをしたり復讐を丸投げたり一歩下がった立ち位置かと思いきや揺さぶりの道具になってみたりと、平和をブチ壊す立ち位置。

さすが地獄の帝王である。降臨する度にもれなく状況が悪化するこの配役は閣下にしかできまい。

だいたいハムレット自体が、クローディアスは王様になりたかっただけで亡霊が余計なこと吹き込まなければデンマーク王国は平和でしたよという話ですからね。

まさに作品のテーマは『洗脳』。

いえ、ToshI個人の話ではなくハムレットのテーマです。

そして現代社会のテーマでもあります。

したい、ではなく何かをしなければならない………ような気がするのは、何処かの悪霊に唆されたからではありませんか? それホントにやりたいことですか?

人生は短い、やりたくないことなんかしている暇はないよ。

現に序盤で『我が王位を継ぐべきは甥のハムレット』って公言してますし。

なりたかったからなって、自分が死んだら元の鞘に収めるって言ってんだからほっときゃいいのに。

それは親父のほうの感じ方の問題であって子供の人生には関係ないことだから、どう言い繕っても先王は個人的な執着に囚われてる悪霊以外のナニモノでもないんだよ。

満たされていることに気づかせ個人的な執着を捨てさせるのが供養であって、復讐は供養の内に入らない事に気づけないハムレットもいいかげんアタマポカポカしてるが、若くてしかも男だからある程度バカなのはしょうがない。

このバカバカしい空回りを悲劇だと礼賛する限りわたしから見たらそれ自体愉快なコントである。

宇宙人総理くらい愉快ですとも。

死んだら何して遊ぶ?

皆の者!
この者はあやしげな術を使うこともなく
神殿祈祷師として実直に
自らのあらゆる欲望を満たさなかった罪で
処刑する!



その罪状に関してはわたしも比較的模範囚ではあるものの未だ服役中の身なので耳が痛い。

僕僕先生の次くらいにわたしのお気に入り。

墓まで持って行けるもの、『満足した気持ち』以外のこの世で起こる全ては、人が人の世界で生きてる間にしか効力を持たない些末な事象ですから。

実際問題本質的にどうでもいいことを極限まで削ぎ落としていかないと肉を纏った悪霊から身を守る術がないんですよ。

人の精神はコランダムほど頑丈じゃないからね。

本質的にどうでもいいことを極限まで削ぎ落として、その隙間に種々のときめき、うきうき、わくわくを流し込んで補強した樹脂含侵みたいなヤツで固めないと研磨することができないんです。

ナチュラルで研磨に耐えられる石なんてほんの一握りで、自分がその狭き門に入っているとは思ってませんから。

死ねば遺骨を圧縮して炭素の結晶になることはできるけど、死んでから物理的に硬くなってもしょうがない。

ダイアモンドになってみたかっただけで誰に持ってて欲しいとか特にないし…。

ミネラルショーのルースガチャにでも入ってようかしら。

ミミック禊という怪しげなリングネームのついたダイアモンドとしてホープの次の次くらいでいいから有名人になりたい。

ホープは人から人へネガティブを振り撒いて渡り歩くが、わたしは願わくば軽躁を振り撒いて歩きたい。

ただ単純に質量の問題でホープと戦ったら負ける。

たとえハックマナイトの墓石を建てたとしても未来永劫わたしの心を繋ぎ止めることなんてできやしない。

墓石に引きこもるくらいならエンジェルフォールの滝にでも引きこもるばい。

そうまでしてわたしを地縛霊にしたい遺族もいないでしょうから、とりあえず肉を脱いだら海外のミネラルショー行ってみたい。

道行くマニアを捕まえて『素敵な勾玉ですね、ついてっていいですか?』と日本のテレビ局のように後をつけては自慢のコレクションを勝手に見せてもらうだろう。

一度くらいは伝説のカリナンも見てみたいし、ベルナールのオパールのコブラも見てみたい。

そしてそれらは本気で手段を選ばなければ肉を着たままでも大抵できるんです。日本のテレビ局とか体あるっしょ。

自らの意思で実行しないことを選択しているに過ぎない。

今のところマオリ族のネフライトの斧に兜割りされて『おーのー』って言ってみるくらいしかガチで肉に当たったらシャレにならない遊びは思いつかない。

フィロウイルスが跳梁跋扈する洞窟や密林の遺跡などを徘徊することも思いのままである。

『浮かれて遊ぶ霊』と書いて浮遊霊です。

サフイフ浮遊霊ニワタシハナリタイ。

………って言うと今すぐにでも死ぬ気なのかと閉鎖病棟へ入れられてしまうから今のカルテに書かないで!

定例会

定例会でいただいた山梨水晶。

小さな結晶で何かに加工するようなものではないんですが、折鶴みたいできれいですねぇ〜。うっとり。

水晶の出身地は番地単位で気にしても、目の前の人間がどちらからいらした何さんなのかには興味がない連中の巣窟なので、もう何度も会っているらしいし話した内容も下げてる勾玉の石紋も覚えているが、気づけば未だに名前すら知らないトモダチ?らしき人がいる…。

聞けばけっこうな勾玉コレクターらしく、この人なら安心してあれを渡せる。

大宮のとき買った翡翠を加工してくれた勾玉職人さんが『あなたの石の仲間に』と作ってくださったでっかいローズクォーツのうちのひとつ、紅石英でないまごうかたなき紅水晶のうっすら虹が入ってるやつ。

ぶっちゃけ都会のオシャンティなストーンショップで同じレベルを探そうと思ったら諭吉を何人引き連れていれば安心して『これいただくわ』って言えるのかわかんねっす。

でもホントにタダでいただいたやつだから心配しないで。

執着しないことくらいしかウリがないわたしに着服しようとか横領しようとか姑息な欲望を掻き立てさせるほど見事な紅水晶なのだが、仲間にと言われている手前、一番いいやつは渡すならこの人にと決めて定例会まで残しといた。

だって、わたしみたいにプロに丸投げたりせずに約束通りコツコツ磨いた翡翠を見せに来てくれると思ったから。

クロム発色ぽい鮮やかなエメラルドグリーンが墨流しのように流線を描いているのがすばらしく美しい。わたしは透明度で選んじゃったから色の鮮やかさでは負けるにゃー。

自分もこれぞという原石を勾玉にしてもらいたいと言うので、人様の名刺勝手に置いてきた。

おじいちゃんが自宅でひっそりやってる工房だけど、博物館に展示するレプリカとか作ってて個人のお客さんは珍しいみたい。マニアのとっておきの蔵石をいじるのは至上の幸福みたいだから贔屓にしてあげてくだしゃい。

工房の名刺は携帯番号なので、一応紹介してほしいという人がいたから近々知らない番号から連絡があると思うけど気を悪くなさらないでくださいね、と電話しておいた。

ノリで個人情報を漏洩させた懺悔をしに連絡したのだが、『この間あなたにもらった翡翠ね、あれい〜いのができたんですよ』、相変わらずごきげんだった。

ミネラルショーのガチャから出てきた翡翠からどんなすごいのを切り出したのかちょっと見てみたい気もするが(ラベンダーを狙ったけど出なかった)、わたしもいっぱい作ってもらったので、それはまた他のお客さんに差し上げるのに使ってほしい、と伝えたところ………

『じゃああなたの友達が来たら渡しておきますよ』

………いや、お名前を存じ上げないので次に訪ねていくお客さんがわたしのトモダチかどうかわたしにもわからないんですけれども(爆)。

まあわざわざ『これで作ってくれ!』って原石持ち込むほど石が好きな人はみんなトモダチでいいです。
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