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僕が苦手な君、君が苦手な僕




『そーいえばさァ……田中って勉強も運動も出来るけど、苦手なモンとかねぇの?』

 夕日の差す教室で、日直の鈴木は同じく日直の田中に訊ねる。突然振られた話題に、しかし田中は驚く事はなく日直日誌を書いていた手を止め、黒板の掃除をしていた鈴木に目を向ける。

『別に。フツーあるだろ』

 ゆっくりと首を横に振りつつ呆れたように笑いながらそう言った田中は、再び日誌に目を落とし其処にシャープペンシルを走らせる。

『なァ、田中の苦手なモンって何?』
『何だろーな?』
『何だよソレー。俺とオマエの仲じゃん、教えてくれよ?』

 鈴木は田中の答えに目を輝かせて飛び付くが、曖昧にはぐらかされると、黒板消しを教卓に置いて田中の前の席に座る。

『黒板はどーした』
『もーキレーになった!』
『机の整頓と窓閉めは』
『ゼンブ終わってる。後はソレだけ』

 ソレ、と言って鈴木は顎で日誌を指す。

『なァなァ、苦手なモンって何だよ?』

 額がくっつきそうな程顔を寄せてくる鈴木に、田中は少し身を退いて目を伏せると観念したように溜息を吐いて。

『……鈴木の顔のアップ』

 ポツリと呟いた。

『えー、ちょっと、かなりショックなんだけど……ンなに見苦しい顔してる?』

 そう呟きながら本気で落ち込みはじめる鈴木に、田中は一度、瞬きをしてから首を振って口を開く。

『そうじゃない、無防備すぎて……――キス、したくなる』
『は……? ッ!』

 鈴木が田中の言葉を理解するより早く、ゼロになった距離に鈴木は目を見開き息を詰める。



『……だから、苦手なの』
『……っのヤロ』

 すぐに離れた唇は、悪怯れもなく笑みを作る。一人真っ赤になった鈴木は顔を隠すように180゚回転して悪態を吐く。
 後ろでクスクスと笑う田中に更に顔を赤くして、鈴木は言い返すように、俺は、と呟いた。

『俺は、田中のキスは苦手だッ。だって――』





――どきどきしすぎて、心臓に悪いから。





 ―――――

 延ばし延ばしで漸く載せた田中×鈴木……な・の・に、何、この微妙なおわり方……つか、日付変わってるし。
 レポートは一応終わりました! 拍手っ!!

 ってわけだからおやすみぃ★

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