このたび遺跡を案内してくれました現地のガイドさんはオルさんという方で、どう頑張っても敵を作れそうにない感じの、すごく穏やかな人でした。

日本語が上手というレベルではなくて、日本人か?ってくらいペラペラと話せる人であった。アンコール日本語ガイド協会の、会長も務めているそうです。

メインのアンコールワットには、第一回廊から第三回廊まであるのですが、第三回廊は一番てっぺんにありまして、たいへん急勾配で恐怖を覚える階段を上って行かなければならないのですが、そこへ私たちを案内する際に「それでは皆さん天国へ行きましょう」とサラっと言った姿がかっこよくて、ちょっと惚れました。

オルさんと一緒に記念写真も撮ったりして・・・。親指を立ててグットポーズをしてるんですよ。もう超かっこいい・・・。

カンボジアといえば、アンコール遺跡とは別に有名なのが内戦の歴史です。そのはじめ、私はどちらかと言えばこちら経由でカンボジアに関心を持つようになりました。

元彼が、見た目も東南アジア人っぽい顔の人でしたが、加えてベトナム戦争とかポル・ポトのことにも詳しい人だったので、その影響を受けて自分も興味を持ちまして、自分でも調べたりなどしているうち、ベトナムはどうあれカンボジアには一度は行ってみたいと思うようになったのでした。

実にガイドのオルさん自身も、過去に祖父が地雷で左足を失ったり、父親が病弱で寝たきりになったり、兄ふたりも加担する勢力がそれぞれで違っていたようで、兄弟同士が対立するという、言葉にするのも忍ばれるような様々な苦労を背負われている方でした。

現地で直に聞く証言には、何時も、いかなる事柄にも、ずっしりとした重みがあるものです。

カンボジアってどこか乱暴で治安が悪いイメージもありますが、私が触れた範囲では全くそんなことはなくて、とにかくどこでも誰でもハンモックで寝ていたり、家族なのか近所さんなのかが家の前に集まって食事をしながらのんびりしているなど、とにかく町も人も全体的にのんびりとしている印象でした。

さらに奥地に行けば治安が悪いところだってあると思いますし、外国人女性が一人で歩いていれば、それはカンボジアに限らずどこへ行っても危ないことは確かだと思います。

単独で旅をしている日本人女性が殺されている事件が結構あるという話を、参加メンバーの方も話されておりました。




36歳にしてついに海外に行くことが出来たわけですが、自分の中ではだいぶ遅かったと感じています。どうせならもっと若い頃に行けたら良かったのにな、という思いは拭い切れません。

だって、世界史を勉強しているのに、その本人はいい年齢の大人になっても海外のどこへも行ったことがないというのは虚しかったし、やっぱりどこかコンプレックスだったんですよね。だけど、どこへでも行きたいわけでも、やっぱりなくて・・・。

いよいよ行こうと思い立ったときに、ほぼカンボジアしか浮かんでこなかったところが妙に不思議ではありました。ドイツでもなく、タイでもなく、なぜかカンボジアしか浮かんでこなかったんですよ。

タイの奥地で暮らしていそうとか、ベトナムっぽい顔をしてるなどと言われることも度々あって、また結構な頻度で自分の夢にも東南アジアらしい風景が出てくるので、きっと東南アジアにも魂のルーツがあるのだろうと勝手に思いながら今回実際に行ってみたのですが、見える風景も、感じる風も、匂いも、まさしく夢の中そのものでした。




3泊5日のカンボジアの旅、プラン自体の料金は20万円ほどでした。

行こうと思えば行ける金額だけど、ちょっと大きい気もして、だけど今こそ行ってみたい気もするしで悩んでいたところに、弟から丁度よいタイミングで過去に貸していた20万円が返ってきたんですよ。

自分でもすっかり忘れていたお金でしたので、それはそれは仰天しました。これは天が味方してくれているとしか思えず、速攻で申し込んだのでした。

ところが、一人部屋には追加料金もかかるし、よく分からない様々な税だとか、燃料費、万一のための海外旅行保険の加入、また私の場合は往復の新幹線代や、前もって空港近くのホテルにも一泊設けておく必要もあって、何より初海外ということでパスポートの取得に加え、カンボジアではビザも必要なのでそれも取得したりで、何だかんだで10万円ほどかかりました。

さらに、マラリア感染が怖くて事前に抗マラリア薬をオンライン診療のもと購入して服用したりなど、それでも高額がかかってしまった。

海外に行くってすごくお金がかかるんだなあ、って行ってみてよく分かった感じです。両替所に行くことも初めてだったし、ドル紙幣やリエル紙幣に触れるのも初めてのことで、やっぱり日本のトイレはきれいだなとか、カルチャーショック的ないろいろな発見もあったりして、とても面白かったですね。

行く前は散々だったけど・・・

今回も案の定、行く前のネガティブ思考が暴走しましてね、楽しみだなあっていう思いよりも、無事に生きて帰ってくることが出来るんだろうか?とか、どうにかなって向こうの病院で入院をするハメになったらどうしよう?とか、そういうことばかりを考えていました。

旦那からも「だったら行かなきゃいいじゃん」なんて言われたりもして。もうこのネガティブ思考っていうのは生涯変えられないと思うんですよ。ほんと自分でも疲れる・・・。

お留守番をしていた旦那にとっても、久々の独身ライフ気分を味わえた素晴らしい一週間だったのではないでしょうか。

帰宅後はすぐに近所のスーパーに買い物に行って、おかずを作って・・・一瞬で現実に戻されました。