薄いピンク色の花弁が満開に咲き乱れる。
天神界でも桜は咲き、その美しさに誰もが息を呑む。春の訪れると、楽しそうに精霊達が踊る。

僕が君を見たのも、春の訪れと共にだった気がする。

藍色の髪を映えさせる薄紅色のドレスを身に纏った君は、嬉しそうに舞う。精霊達の謳に合わせ、ひらり、はらりと散る桜の花弁の下で。


「次期海王の舞を拝めるとは光栄だな…」


僕が彼女を見ていると、声がした。
思わず横に視線を移せば、にやりと妖しく微笑む親友の顔。


「蛟帝の若君ともあろう者が、ストーカーか?」


「ち、違う」


「嘘付け。この間だって、輝に熱い視線を送っていたくせに…」


「…」


何故、ソナタが知っているんだ。


「惚れたならアタックしろ!」


それが出来たら苦労はしない。
僕は、彼を睨み付けた。