僕が知る七夕伝説は、父さんが教えてくれた。


「昔々、天帝の娘『織姫』と牛使いの『彦星』という青年が居ました。彦星は働き者で、毎日遠くから織姫の居る場所へと足を運んでいました。天帝は、そんな彦星の働きを見て天の川を作ってあげました…」


「天の川?」


「空に無数の星が橋になるんだよ…」


「凄い!父さんも…作れますか?」


幼い頃の僕は空に無数の星で橋を作る技術が凄いと関心した。父さんの顔を見上げれば、ニッコリと微笑む。


「あぁ」


「今度、作って下さい!」


温かな手で頭を撫でられたのが承諾のサインだと思った。


「織姫と彦星はいつの間にか恋に落ちた訳だが、天の川が掛かったせいで二人共…働かなくなってしまった。その事実を知った天帝がブチ切れて…天の川は一年に一度だけという掟を作った。無論、織姫は悲しみと憎しみが襲い、一年に一度だけ掛かるというなら。父親である天帝と盛大な親子喧嘩をしようと考えた。天界戦争が巻き起ころうとしたんだ」