『この、出来損ないっ…貴様など、朱雀帝の恥さらしだ。出て行けっ!!!』
私は…
出来損ない。
それ以上でも、それ以下でもない。
なら、昔から果たしたかった事を晴らそう。出来損ないなりに…
「――…怪我してるのか?」
黒く長い髪を横に結わえている女性…
「残念ながら、女ではない。昔からこの顔に悩ませされてはいるが…な」
にっこりと微笑みながら私に言った。
どう見ても人間。私の心を読めるなど、同じ卷属じゃないと解らないハズだ。
思わず、目を大きく開いてしまった。
「…っ」
「怪我が酷い様だ。私の屋敷で手当てをしよう…」
「だ、大丈夫…っ、ぐぅ」
「とても…大丈夫には見えぬが?」
ひょいと、持ち上げられ。吃驚し、身を捩ると怪我して開いた傷口が痛む。