スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

侵害(吉良+DIO/jojo荒木荘)

※未完


 冷蔵庫に牛乳が無い。吉良は「まさか」と「やはり」との中間の心持ちで扉を閉めた。何も口にせず、歯を磨くために洗面所へ向かう。
 就寝前のホットミルクという吉良の日課は、共同生活の中で崩れつつあった。

続きを読む

足踏みの寄る辺(ボス+吉良/jojo荒木荘)

※未完



 カーズが戻らない。二三日の時もあれば一週間二週間に及ぶときもあるが、とにかく不定期にカーズは黙って家(と呼ぶことに慣れてしまった共同生活の空間)から離れていることがあった。だから、カーズが家を空けて戻らないことは別段珍しいことではない。それに対して、胸騒ぎを覚えることが珍しいのだった。そしてその正体がわからない。
「君もかい?」
 俺の予想に反して、吉良は同意を口にした。カーズはもう戻ってこないような気がするとまで言う。吉良は食器用洗剤の染み込んだスポンジを濯ぎながら、記憶をたぐるように視線を彷徨わせた。
「でも、胸騒ぎの正体は知っている」
「本当か?」
「単にカーズが外出して戻らないというのなら寧ろ願ったり叶ったりだろう。君も、私もだ。ただでさえ、二か月ものDIOの不在を清々しいものとして捉えているんじゃあないのか?」
「それはそうだが、そうだからこの焦りに説明がつかない」
「既に二人の失踪を知っている気がするからだと私は思うね」

熱色にとってかわる(エシカー/jojo)

 あの時おれは赤面したのであった。奴の事をほとんど知らなかった頃、彼奴の軽口に戸惑って。
 そうだ、酷く昔の事で、暫く思い出すことも無かったが、確かに俺は僅かばかりに狼狽し身動ぎさえもした。ピアスが鳴る程度には。その時カチャリと鈍く鳴ったのは球が連なるデザインのピアスであり、正しくそれが赤面の遠縁である。

続きを読む

アンチジーン(ジョルミス/giogio)

 何度見ても、その存在は芸術品のようだった。ジョルノが捲っていた袖をくるくると戻すと、白磁のようにすべらかな腕は普段通りに隠れてしまう。勿体無い、と思った。俺とジョルノどちらかの家にいる訳でもないのに、夜の執務室でそれを見る違和感も少なからず感じる。しかし、まず頭に浮かんだのは「何故そんなことを」ということだった。ジョルノが手にしている注射器には、血液が入っている。

続きを読む

てんかいのうたかた(シーザーとDIO/jojo)

(※死後の世界のどこか)

 その大層美しい男は「夜が明けるのが怖い」と滲み出るようなか細い声で言った。身長二メートル近くの引き締まった体躯すら、その言葉に包まれて頼りなさげに見えた。

 初めて彼を見たのは月光の許でのことだった。

続きを読む

アダスイーツ(ジョルミス/giogio)

 我らがパッショーネのボスは重役出勤が許されている。それが休暇の翌日だとしても。許されてはいるものの、そんなことはしたこともなく自主的に朝一番から本部に詰めて仕事をしているのがジョルノだ。まぁ、そんな茶飯事は今は置いておくとして、勿論他の構成員はそういう訳にもいかない。誰もそんなこと考えてやしないだろうが。そもそも、ジョルノがこういう人物であるが故に、大抵の部下は自ずからボスに報いる働きをしようとする。そして、折角の制度である有給休暇すら消化しない要領の悪い奴すらいる。

続きを読む

La dolce vertigine(シージョセ/jojo)

(※転生パロ風味の現パロ)

 とろとろに熟睡していた目が覚めてしまうほどの、こんなにパリッとした晴天はひさしぶりだった。カーテンの引かれていない窓からの白い直射日光はとがっている。腕を目にかざしながらゆっくりとまぶたを開けたものの、まぶしさに慣れきらない目がジンと痛んだのですぐに目をつぶる。車通りの決して少なくはないはずの道路がまだ静かなので、朝もまだ早い時間だろうとあたりをつけた。

続きを読む

<<prev next>>