東と当真と冬島の三人交際時空で、どこからが浮気かを当真と東が話す回。
・冬島不在
・当真が報われない雰囲気
・東に不特定多数の相手がいた
・具体的な性描写なし
・東はウケ専。当真と冬島のポジションについては記述なし
・前編までの途中下車可。
後編(:マーク以下)で破局します
遠征艇は帰路についている。損害は無し。異世界の地図が更新され、他国文化の調査が進み、現地で使用されているトリガーをいくつか得た。今回遠征艇が着いた国は、住民も気候も政情も穏やかで、三門の人間に危害を加えた事実は確認できなかった。
鳩原は、来たとしても肩透かしだっただろうか。
風間が目を見開いたのは、その厚さが目に留まったからではなかった。その表紙写真の怪しさに驚いたのとも――諏訪にしては珍しい選択だとは思ったが――違う。
諏訪の手にした文庫本の、そのタイトルに目を奪われた。
俺のどこがいいの。
そんな言い方で、東に、俺の好きなところを言えよ、と強請っている。甘えを、この歳になって、やめられずにいて、それだから余計に「こんな男のどこがいいの」となるのだが、いい大人がぐずぐずと年下に泣き付いて、ずるいよなあと思う。
でも東は、「ずるいところ、ぐずぐずしてるところ、かっこいいところ」などと言ってくる。
こういうときに、お前のこと好きでごめんって思う。あーあ。
二人ですき焼きを食べるときの、冬島さんの最初の一口が好きだ。
当時はただのエンジニアとただの新入隊員で、実のところ同じ建物で働いていても接点はなかった。
(出会い捏造)
採用面接で、俺と似たようなことを言ったやつがいるらしい、とは聞いていた。
「東さん今何か欲しいものありますか?」
「特にないから、気を使ってくれなくて大丈夫だ」
「だから言っただろ、東さんはこう言うんだって」
と言うことがあったんですよ。東は風呂上がりの髪を拭きながら、そう締めくくった。
大学内の食堂に程近い、簡易的な喫茶スペースで、呑気に茶をしばいている。俺も東も自販機のコーヒー片手に、ほぼ満席の空間から二人掛けテーブルの空きを見つけ出し、そこにかけた。
「で、なんで冬島さんが来たんですか?」
アウトドア派のワーカホリックが自宅に籠りたがるとき、大抵ろくな精神状態ではない。