《クリスマスぼっち男子会》

クリスマスは海外では家族と過ごす、楽しくも厳粛な日であるが。恋人たちの聖夜として定着してしまった日本では、家族と同居してるかどうかを問わず、恋人のいない独身者たちは男女問わず「寂しい人」のレッテルを貼られて肩身が狭い。

そんな中で全国規模でネット上で発足されたのが「クリスマスぼっち同士で集まって楽しく過ごそう」という主旨の「クリスマスぼっち同盟」である。
「男子会」「女子会」と実質合コンの「男女合同会」に分かれて、それぞれクリスマスイブ〜クリスマスを寂しくないように乗り切る企画が出されたが。

「男子会」では、クリスマスそのものを避けたいとの思いから、クリスマスシーズンに紅葉(こうよう)が見頃になる場所に1泊2日の旅行(2023年のクリスマスである25日は月曜日で、仕事がある人は24日の夜は泊まらずにとんぼ返り、もしくは職場から近い人は泊まっても翌朝に旅館やホテルから出勤)と決めた。

だがしかし、紅葉はバッチリで露天風呂(ドラム缶風呂でも「温泉」ではないが立派に露天風呂である)を楽しんでいた「男子会」に異変が!

「……雪、だと?」

「あー、いいっすね!雪見風呂で。この勢いだと降り積もるんじゃないかな?後で雪だるま作ろう!」

「くっ、ここにまで追手が……!」

「追手って?何のことっす?」

「バカめ、俺たちは何から逃げてきてここにいる?」

「クリスマスイブとクリスマスっすね!」

「では今日はクリスマスイブだが。そのイブもしくはクリスマスに雪が降り積もることを何と言う?」

「ええっと、確か……ホワイトクリスマス……ああっ!?」

そう、彼らを見舞ったのは、クリスマスに“確実ではないが”雪が降る可能性のある地域でロマンチックなクリスマスの代名詞となっている、ホワイトクリスマスの洗礼だった!

天気予報と違う?ノンノン!天気予報は関係ない!恋人たちがロマンチックなクリスマスを過ごせるように願ったことで、奇跡が起きたのだ。
とはいえそれが奇跡でロマンチックに思えるのは、願った恋人たちだけで。クリスマスぼっちたちにとっては苦虫を噛み潰したような表情でおもしろくないはないだろう。

そしてクリスマスぼっちたち、恋人たちを含めた多くの人たちが、「突発的な積雪が予想される降雪」によって降雪による渋滞、事故の多発、除雪作業の重労働の発生という雪がもたらす負の要素に巻き込まれるのだった。

※※これはフィクションです※※