私と青年と黒猫の少し不思議な体験0

《私と青年と黒猫の少し不思議な体験》

 桜吹雪の中たたずみ本を読んでいる、マフラーとメガネとセーターの似合う青年の肩に、黒猫が乗っている。それを見ていると、ふと青年が顔を上げてこちらの方を見た。目が合う。

「何?(……か用でも?)」

「……!!えっ、あっ、あの 、黒猫が……」

「ああ、こいつのことか?」

「(コクコクうなずきながら)そう! 気になって見てたの」

「ふーん? てっきり俺のことに見惚れていたのかと思ったんだけど」

「え?」

「なるほど。こいつの方がイケメン猫で注目されてたってことか」

「……っぷ! アッハハハ! 猫ちゃん……くんに負けちゃったの?」

「そうみたいだね」

 ……そしてそれが、私たちの恋の始まり……だったら良かったのかもだけど。

 その後に仲良くなった私たちは何回か偶然と約束してで会い、いつもそこには黒猫がいて。でもその黒猫くんが……。

 ある時、いつものように青年の肩に乗っていなく、黒猫と青年は道路を挟んで向き合っていた。黒猫は青年の飼い猫ではなく、道路に面したパン屋さんの看板猫(メス猫)、のところに通ってる人懐こい通い猫(複数の飼い主の間を渡り歩いている半野良猫)で。青年のことはその肩に乗るのがお気に入りという関係だった。

 その青年の姿を見つけた黒猫は、反射的に青年の方に向かって歩き出す。その肩に乗るために。
 けれどそこにスピードをかなり出した車が道路を走ってくる。運転手は途中で黒猫の姿に気づくが、黒猫の方が危険を察知して横に飛び退(の)くかして避(よ)けるだろう、猫はすばしっこい動物だし、という考えだったのか? スピードを落とさず近づいてくる。
 だが黒猫の方は猫まっしぐら! という言葉通りに、視線の先の、道路を渡りきった先に立っている青年の方へとトコトコと歩いていく。
 さすがにまずいと思ったのか? 運転手がクラクションを鳴らす。その音が気になって黒猫が振り向き、勢い良く近づいてくる車の姿に気づき、その場に固まる。

「……!!」

 危ない! と思った時には、体が道路に吸い込まれるように動いていた。黒猫が最初にいた側の歩道にいた私が一番近くにいた。それでかっこ良く黒猫を掴んで抱き抱えて、突っ込んでくる車を避けられたらよかったけど。そうはならなくて……強い衝撃を感じた!!

 ……その後の記憶は、よく覚えていないけど。助けた黒猫を青年が抱えて保護して私を心配そうに覗(のぞ)き込んでいて、ああ、黒猫くんは無事だったんだと安心してから意識を手放した記憶がある。

 目覚めたら、病院のベッドの上で、動けなくなっていた。医者の説明によると、頸椎(けいつい)損傷で首から下が動かなくなっていて、一生寝たきり生活になるとのことだった。
 それが悲しいことなのか? 絶望することなのか? まだ実感がともなわず、ただ動きたいと思っても動かない、動かせない体にストレスを感じていた時に、青年がお見舞いに来て言った。

「……本当はあいつ(黒猫)も連れてきて、一緒にお礼とお詫びを言うべきなのだろうけど。人間の病院に連れてくるわけには行かないからな。俺があいつの代わりに、『助けてくれてありがとう。そのせいで君にこんな怪我をさせてすまなかった』」

 青年は深々と頭を下げてから、ゆっくりと顔を上げて、こっちをじっと見ながら続けて言った。

「あいつを……『猫』を命懸けで助けてくれたお礼として、“猫神”の俺が君の願いを叶えよう」

 叶えられる願いとして、今の頸椎損傷して寝たきりの体を元通りに治す、というのは無しということだった。もちろん、現代医療では寝たきりは避けられない状態を、青年がどうにかできるとは思っていなかったから、ちょっとは期待していなくはなかったけど、そんなにがっかりということはなかった。たとえ青年が富豪でもいくらお金を積もうと無理なことはあるのだ。
 青年は叶えられない理由として、「君が怪我した結果、そこまでしてでもあいつ(黒猫を)を助けたいという想いが届いてあいつが助かったのだから。その怪我を無かったことにしたら、あいつは助からない運命を受け入れるしかなくなる。だがそれは君も望むことではないだろうから……」ということを言っていたが。

「……じゃあ、私は自由に歩ける……猫になりたい。昔から、学校や仕事に行かずに、のんびり食べて寝て過ごしてる猫になりたいって思っていたから」

 むろん、そんなことは不可能だ、普通は。だけど言うだけなら言ってもいいよね? という気持ちで言ってみただけのつもりだった。だが青年は、フム、と顎(あご)に手を当てて少し考え込む様子を見せてから、

「わかった。それを君が望むなら。その願いを聞き届けよう」

 と言った。

 それから数ヵ月後──

 私は青年の肩に乗っていた。右肩には黒猫、そして左肩に、猫になった私で、青年はそれを涼しい顔をして受け入れている。

 ………元の体はどうなったのか? それは治療の実験用に生かされて残っている。けれど、そこには私の魂は宿っていない。厳密に言うと宿ってはいるが、意識は猫の体に出張して入っていて、元の体の意識は昏々(こんこん)と眠っている……青年が手配した施設内で。

 そこでは青年が動物を同伴で訪れても特別に許されているようで、時々「自分」のお見舞いに行くこともあるが。確かに「それ」は自分でもあるのだが、第三者的視点で「自分」を眺めているからか? もう自分ではないような気持ちの方が大きくなっている。

 いつか、人間よりは短い猫生を終える時が来て、その時まだ「自分」の体が生きていたら、そちらに戻ることになるのだろうか?

 だけど今は、人間が思ってるほど楽ではないけど、気楽な猫生を楽しんでいる。ご主人様になった青年の元で……。

(『私と青年と黒猫の少し不思議な体験』了)

※※これはフィクションです※※


想うは麗しき白桜0

《想うは麗しき白桜》

ソラ男の亡き父の若かりし頃の姿?

「ミミッツクラム(STORM4月 Precious Animals)」とかミミッツクラムとかミミッツクラムとか……何気に怪しげな研究をしていそうで、していたのが彼、白髪 継人(しらかみ つぐひと)。

※※これはフィクションです※※

ボスはぴば2024,2025(^・ω・^)0

《ボスはぴば2024,2025(^・ω・^)》

猫髪(ねこがみ)探偵事務所にて。

ソラ男(右)「ボス、HAPPY BIRTHDAY!」

奏良音(そらね)( 左)「おめでとう♪」

猫たち(たくさんそこらじゅう)「にゃー、ニャー、にゃー、ニャー♪(おめでとうにゃー♪)」

ボス(司郎(しろう))(中央)「ありがとう、みんな〜」

ソラ男「今年(2024年)は閏年(うるうどし)だからぴったり2月29日の誕生日の当日に祝(いわ)えたな」

奏良音(そらね)「そうじゃない年は2月28日に祝ってたよね」

ボス「そうだね。うっかり明日(29日)だと思ってて、でも閏年じゃないから29日が無くて3月1日になってから、なんてことも……」

ソラ男「改めて2月29日の誕生日で40歳おめでとう!だ」

奏良音(そらね)「え?……40歳、なの?ボス」

ソラ男「そうだぞ、奏良音(そらね)。俺様は今年の3月6日の誕生日が来ると35歳になるが、ツカサ(=ボスのソラ男的愛称)は俺様の5歳年上だからな」

ボス「ハハハ……、まだアラフォーとはいえ30代後半のつもりでいたけど、ついに『初老(しょろう)』になる40歳になっちゃったねぇ〜」

ソラ男「今は40歳を初老扱いはしないが。さすがにいい年なんだから、そろそろ身を固めることを考えた方がいいんじゃないか?」

ボス「また実家のみんなみたいなこと言って〜」

ソラ男「俺様もツカサの従弟だから、一応実家組ではあるからな?それにツカサの実家からツカサの“世話役”を頼まれてる身だからな」

ボス「5人兄弟の四男だし、実家の神社の“猫憑(ねこつ)き”な“相談役”で当代“猫神”としても、別に結婚して跡継ぎを作る義務はないからね!」

ソラ男「だからといって40代を迎えたいい大人がフラフラと女遊びをしているというのは、浮気調査をすることが多い探偵事務所の所長がそれでは、探偵業としての信用や評判に関わることだからな?」

ボス「浮気はしていないよ?少なくとも既婚者と関係を持つ不貞(ふてい)行為はしていなくて、あくまでも独身者同士の自由恋愛の範囲でしか……」

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あと2日で……0

《あと2日で……》

ボスこと猫髪 司郎(ねこがみ しろう)の2月29日の誕生日(当日に祝えるのはほぼ4年に1度の閏年(うるうどし)だけ)がやってくるので、猫にまみれて待機中のボス?

(当日に誕生日投稿できるかはわからないけど……(^_^;))

※※これはボスのフィクションです※※

ウニャニャ(/ ・ω・)/にゃー0

《ウニャニャ(/ ・ω・)/にゃー》

※※これはフィクションです※※

ミッションだ(/ ・ω・)/にゃー

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