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#あさましい一体感(親←就)

燦々と輝く日輪の下、穏やかな海を臨む美しい厳島

そこで、
ただ、我に会う為に、我に会う為だけに、
わざわざ四国から船でやって来た男は我の隣で笑って言った

「やっぱ海ってのはいいよなァ」

特にここからの眺めは最高だと
笑顔を向けた男、の、後ろの日輪が、海が、あまりに眩しくて(そうだ日輪が眩しいだけだ)
思わず目を細めて頷いた

「だよな、あんたも好きなんだな」

頭を撫でられそこで初めて目を逸らす
違うわ、と手を払い除け再びきらきら輝く瀬戸内の海を見つめた

(そうか、そなたも、ここが好きか)

自然と笑みが零れた



(これだけのことで手に入れた気でいられるのは幸せですか?不幸ですか?)

いっそ君がこの世界を創ったのなら僕は総てを愛せるのに(どうして君は神様じゃないのだろう)(どうして神様は君じゃないのだろう)



#かすりもしない傷を乞う(佐助)

そんなことは万に一つどころか億にも兆にも一つもないだろうと思うけど

もし
もしも、だよ
仮定の話

もしもアンタがこの世界に絶望して
もしもアンタがこの世界を必要としなくなったとしたら

真っ先に俺に教えてよ。

そうしたら俺は喜んで一緒に逝くよ
アンタとずっと一緒にいたいなんて言い訳吐いてさ



お願い。

これが俺様の一生のお願い。

約束は嫌いだからしなくていい
ただ覚えておいてよ

一緒に死のうなんて物騒なこと言わないよ
ただ俺は(アンタと別れるのが)、



ありもしない仮定の話

(本当は臆病なだけなんだ)(ごめんね)










―――――
佐→幸っぽく(?)
幸村に依存しまくりな佐助が好きだ
…ぶっちゃけ佐幸でも幸佐でもいいんだが←



不器用な彼(親就)

不器用な彼は甘えるのも下手らしい

「……」

ごりごり
ごりごりごりごり

…痛い。

「あー…元就?どした?」

「何だ」

いや何だじゃねェって

先程から俺の肩に額をごりごり擦り付けてくる

骨に当たってマジ痛い

「ほら、判った、判ったから」

俺の肩に押しつけている頭を撫でてそのまま胸まで引き寄せる
あぐらの上に元就を乗せ抱き締めてやるとおとなしくなった

「…元親」

「アアン?」

「……チカ」

俺の首に手を回しそう呼ぶのは甘えてる時だ

返事の代わりに綺麗な髪を撫でてやった

甘えたい時は素直に言えばいいのに。

甘え方を知らない上に素直じゃない女王様にそんなことを期待しても無駄だろうから肩が痛くても我慢する

甘えられるのは嫌いじゃねェし、何より可愛い

でもその方法じゃあんたの額も痛むだろ

これからはもっと早く気付いてやろう

「…ナリ、ちょいこっち向け」

素直にこちらを向いた端正な顔の
不器用な愛の犠牲になった白い額に口付けた










―――――
お互い「チカ」とか「ナリ」とか呼ばせたかっただけ←



#何かを求めたすこし前(慶小太)

例えばああそう、彼の持つ風は春のそれにそっくりで

「…どうしたの?」

自分の持つものとは対極にあるそれを心地好く感じていた最中

「また何か考えてた?」

そうかただぼんやりしてた?
無表情な自分には不釣り合いな程眩しい笑顔で心中言い当てられる
何故彼はこうも自分の考えていることが判るのだろう
自分の纏う風の微妙な変化に気付き、察してくれる彼が、純粋に凄いと思った

「アンタって結構ぼけっとすること多いよな」

どうやら後者ととられてしまったらしいが嫌悪など感じない
彼の問いに、耳は傾けるものの反応など何一つ返さぬ自分が悪いのだから
寧ろこうやって自分と人並に接してくれる彼に感謝している自分がいるということを、最近知った

「どうしたよ」

からから豪快に笑いながら髪を撫でてくる彼に向き直り、少し驚く彼の名を、唇に刻んだ

け い じ

声なんか出そうにも、もう何年も出してないから出し方すら忘れたけれど
でも聡い彼は口の小さな動きだけで判るのだから矢張り凄い
一瞬目を見開き、だがすぐに優しく細めて名前を呼ばれた

「何だ?小太郎」

その名は風魔の一族の血塗られた名前なのに、彼が呼ぶとああなんて柔らかい風になるのだろう

(例えばああそう、彼の持つ風は春のそれにそっくりで)
(少し、羨望してしまった)

まだ春は来ないけれど、春が来たら貴方が知らせに来てほしい
京の桜も綺麗なんだろう
だけど小田原の桜も綺麗なんだ
主人には見つからないように

傭兵にあるまじきことを考えつつ、柔らかな髪に顔を埋めた

(来てくれないかな、春は自分に)

彼の笑い声と共に、春の香りがした










―――――
慶小太!うわぁ無茶な!
でもバサラだし何でもありだよねと開き直る自分←
コタロは喋らないのが可愛いと思う(*´ω`*)
しょうがないから捏造←



#錆付いた自尊心をひるがえし、(元就)*

*親←就で元就ストーリーED(つまりアニキ死んでます)*










暁の刻
厳島は我ら毛利の元へと戻った



アニキアニキと喚く雑魚共を斬り付ける

断末魔の悲鳴が耳障りだ

頬に飛び散った赤い液は気味が悪い程温かかった

長曾我部元親を庇うように倒れたそれらを蹴り飛ばし、細めた目で見下ろしたのはもう二度と動くことはない西海の鬼

ただの肉塊
ぬめりを帯びて光る赤
風に靡く銀色の髪
開くことのない隻眼
ただの肉塊

酷く、快感
そして安堵



愚かな鬼

貴様だけでも生き残れる術はあった
駒を捨てればいい。単純。至極簡単
それを貴様はしなかった
馬鹿な情を抱いて死に急いだ

恐ろしい鬼

我にまでその情を振るおうとするな
我の心に土足で入ってくるな
我をそのような目で見るな
我にそのような戯言を申すな

優しすぎた鬼

貴様のような者は知らぬ
暖かさなど人は持たなくてもよいものだ
暖かいのは日輪だけで充分だから

残酷な男

我の 虚無が 貴様に 判るか
怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い、
怖、かった



だがもうおらぬ

鬼はもう、この世におらぬ



ふらふらした足取りで海岸へ向かった

日輪に照らされた瀬戸内は
嗚呼なんて美しい



我が心奪われた鬼は、もうおらぬ



これでもう、何に恐れをなしえようか
これでまた、無感動で無慈悲な心に戻れるのだ

壊れたそれが、音を立てて割れていく



「おお…っ、日輪よ…この幸せ…!」





そしてまた独り。



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