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#ふさいだ耳から嗚咽(ロイ→←ラガ)

どこか行こうか。

と、彼は独り言のように呟いた
だから俺は独り言だと判断し、無言のまま愛用の剣の手入れを続けた
するとそいつは今度はこちらを向いてはっきりと口にした

「どこか行かないかい?」
「どこかってどこだ?」
「どこかはどこかだよ」

俺はその答えに苦笑し、するとラガルトもつられてか、笑った
だが目は真剣なままだった

「どこか、ないの?行きたいところ」
「俺は、特に思い当たらないな。お前は?」
「ロイドが行きたいところ」
「そうか、なら俺はラガルトが行きたいところに行きたい」

これではまるでイタチごっこだ
ラガルトも「それじゃあ二人ともどこにも行けないじゃないかい」と笑って言った

「俺はお前さんがいるところにいたい」
「なら別にどこにも行かなくていいじゃないか」
「…ロイド」

笑っていたラガルトの顔が歪む
今にも泣きそうな彼の顔に目を見開いた
ラガルトが俺の肩を掴む
その力は強かった

「ロイド、どこかに行こうぜ、一緒に」

どうしてそこまで頼み込むのか、謎だった
いくら気分屋の彼でもここまで性急ではない
ここでもいいじゃないか、俺達は今まで通り何も変わらない
ソーニャは正直好きではないがニノはいい子だ
お前もニノは好きだろう?

「連れていってよ」

俯いたラガルトの表情は長い淡紫の髪で見えなかった

「ラガル、」
「悪いね、何でもないんだ、忘れてくれ」

そう言って笑ったラガルトの表情はいつもと変わらなかったから

「ラガルト」
「ん?」

手を離し、離れていく彼に何気なく言っただけだった

「また明日」

一瞬の間、影、真剣な表情、しかしすぐに彼はまた綺麗に笑って言った

「ああ、またな」

翌日、ラガルトが牙を抜けたと親父から聞かされた



『それじゃあ二人ともどこにも行けないじゃないかい』



記憶の中のラガルトが泣きそうに言った(その時確かに彼は笑っていたのに)





(嗚呼俺達はどこにも行けないのか)
(連れていってほしかったのか?)(連れて行きたかったのか?)
(そんなことを昨日の彼に尋ねても彼はただ笑うだけ)

気付きたくなかった(気付くのが、遅すぎた)。



#神さまのとなり(峨円)

もう、神様でいいじゃん


「何が」

「だ、か、ら、力哉の力。人外だよ、人知を越えてるね、神かっちゅう話」

「俺は神じゃない」

「いやね、知ってるよそんくらい…」


でも俺はそう信じていたいんだよ
(そんなこと、柄じゃないから言わないけど)


「…マルコ?」

「力哉の隣は落ち着くーっちゅう話だね」


目を瞑って力哉にもたれかかる

安心と、優越と、(少しの恍惚と)


「もう破壊神でいいじゃん」


何が可笑しかったのか、力哉は楽しそうに顔を歪ませ俺の頭を無遠慮に撫でてきた


(ああ、)


ああ、きっと神に祈るってこんな感じなんだ

(これでも俺、必死なんだよ?)それでも呟くのは心の内



隣に立たなきゃ(だって後ろは何もないもの)



#鉄のかたまりに安堵したのだ(三←サソ)

眠れない
眠れない眠れない

たまに、ちょうど忘れた頃に、この症状はやってくる
人形になりたい自分に睡眠など不要だが、目を瞑り何も考えずにいると朝になっていることを睡眠というのなら、今日は眠れないのだ

「…痛い」

痛い
痛くないはずの身体が痛い
何だこの痛みは痛い痛い怖い(何だこの感情は)

はっはっと浅い息を繰り返し眉をひそめながら手を伸ばした先には黒い人形
一番気に入っているコレクションをチャクラ糸で引き寄せる

(ああ、)

砂の里にいた頃と変わらない抱擁
小さかった自分をあやすように優しく優しく
何ら変わらない
ただ感じないのは

(冷たいのは俺が人形になれた所為だそうだろう風影)



朝になると糸が外れ壊れた人形が転がっていた



#祈るという方法を知らない子だったので(政+孫)

欲しいものは奪ってきた
与えられないから、奪ってきた

(だからわしは全てを持っていると思っていたのに)
(満たされていると、思い込めていたのに)

あのヒゲオヤジに気付かされてしまった(悔しいことこの上ない)

「政宗ぇ、団子食う?」

「いらぬわ馬鹿め、一人で食え」

「はぁあ?お前なー、俺がせっかく優しくしてやってんだぞ、野郎に!」

「連れが欲しいのなら女と食えばよいだろう!もしくは、」

そこで息を止める
(嗚呼矢張り言えない)

「…政宗?」

「…何でもないわ」

嗚呼悔しい悔しい
気付いてしまった己が欲していたものに
気付いてしまった彼の優しさは己のものだけではないことに

(なのにこいつはわしがずっと求めていたものを最初から貰っていてそれが当然だとも思っていて)
(矢張り当然のように周りにそれを与えていく)

悔しくて腹立たしくて(寂しくて)、
そんなこと露とも知らないであろう孫市を睨んでやると困った顔をして少し目を泳がせてから大きな手でわしの頭を撫でてきた

「どした?」

「…孫市よ!」

「あ?」

ああこの手はあの金色の獅子には勿体ない!
孫市が持っていた団子を思い切り頬張った

ああっそれは俺のだっつぅのと子供のように怒るヒゲオヤジを尻目に甘ったるい団子を租借し続けた

甘すぎて(ほんのり優しくて)、少し泣いた



口にすら出来なかった(愛して下さい)










―――――
地味に慶孫前提(笑)
伊達(ムソ)も政宗(BSR)も何だかんだで寂しがりだから、こじゅと孫に構ってもらえばいいなと(妄想)
妹が孫と伊達は親子だ萌だとか言ってるんでまァそんな感じ(テキトー)でもうちの孫ガキっぽいんだよなァ←
孫政でも政孫でもなく、政+孫(でも慶孫前提なので伊達は慶次に嫉妬する^^←)



#あさましい一体感(親←就)

燦々と輝く日輪の下、穏やかな海を臨む美しい厳島

そこで、
ただ、我に会う為に、我に会う為だけに、
わざわざ四国から船でやって来た男は我の隣で笑って言った

「やっぱ海ってのはいいよなァ」

特にここからの眺めは最高だと
笑顔を向けた男、の、後ろの日輪が、海が、あまりに眩しくて(そうだ日輪が眩しいだけだ)
思わず目を細めて頷いた

「だよな、あんたも好きなんだな」

頭を撫でられそこで初めて目を逸らす
違うわ、と手を払い除け再びきらきら輝く瀬戸内の海を見つめた

(そうか、そなたも、ここが好きか)

自然と笑みが零れた



(これだけのことで手に入れた気でいられるのは幸せですか?不幸ですか?)

いっそ君がこの世界を創ったのなら僕は総てを愛せるのに(どうして君は神様じゃないのだろう)(どうして神様は君じゃないのだろう)