今日の無料ガチャは、ピカピカうわばき(青)。
《凍着(とうちゃく)現象〜氷雪迷宮にて〜》
「……ううっ」
背後でうめき声がしてハッと振り向く、奏(かなで)。振り返った先には、青い全身タイツ姿で、青い地色に目鼻口の周りに赤で隈取(くまど)りの入った覆面を被った、一見してヘンタイ男が、こちら側に身体の正面を向けて、工事用ガードフェンス(通称B型バリケード)に張り付いていた!
「……そこで何してるの?」
「助けてくれ!手が……足も、背中もフェンスに張り付いてしまって、身動きできないんだ……」
全身タイツ覆面男は弱々しく奏(かなで)に助けを求めてきた。よく見れば男の背中側のガードフェンスに接している、男の手は素手で直接、背中……肩甲骨の辺りや臀部の出っ張りと、足裏が、全身タイツの生地ごと張り付いている。
どうやら冷たい金属のフェンスに触れたことで、元々金属の表面に付いていた霜(しも)が男が触れたことでその体温でいったん解けての水分や、男の体表から蒸発している水分が、氷雪迷宮内の寒さで金属表面と男が接触した部分の間で再凍結や凍結したことで、氷が接着剤の代わりをする、凍着現象が起きて、男はガードフェンスに文字通り「張り付いて」いた。
2023-4-14 19:08
凍着現象〜氷雪迷宮にて〜0
「何でそんな状態になったの?」
「それが……氷雪迷宮の探索者を……要はキミのことだけど。驚かせるのにこんなポーズはどうだろうと試したら……うっかり素手だったのを忘れて直接冷たい金属に触っちゃって。
無理やりはがすと手は皮膚がはげちゃうし。全身タイツも……全身タイツはボクにとって第二の皮膚のようなものだから破けるのは嫌、というか伸縮性バツグンでこれだけピチピチで着ていると、伸びる前の生地の大きさ的に、破れたところから風船が割れるようにとは大袈裟だけど、似たような状態になったら非常にまずいことに……。
ともかく、身動きがとれなくて困ってるんだ。助けてくれないだろうか?」
「助けるといっても、どうすればいいの?」
「氷点よりも温度の高い水やぬるま湯で、凍着してる接触面の氷を解かしてもらえれば。キミの回復系必殺技の『ブルーローゼズ・ヒーリング(青薔薇の癒し)』の応用で水を生じさせることができれば……氷を解かすだけでなく、凍傷の治療にもなって一石二鳥のはずだ」
「……なんかものすごく虫のいい話を振られてる気がするけど。わかったよ、やってみるね。
メイクアップ・コーディネーション!」
奏(かなで)が空猫†クロームプリンセスに魔法変身する。
ちなみに呪文の「メイクアップ・コーディネーション」は、ほぼ万能で、使用者のイメージした魔法が発動するタイミングを知らせ、勝手に発動しないための制御ワードみたいなものだ。
その後にたとえば「ファイヤー・ボール!」と付け加えて、魔法の火の玉を飛ばしちゃうよ☆と親切に伝えることもあるが、連続で魔法の発動をするなど時間短縮の必要の際には「メイクアップ・コーディネーション」自体も省略される傾向になる。
「ブルーローゼズ・ヒーリング(青薔薇の癒し)!ダンス・オブ・スプラッシングウォーター(生ぬるい水しぶきの舞い)!」
奏(かなで)が必殺技を唱えると、奏(かなで)の周辺に生じた粒感の大きな(生ぬるい)水しぶきが、器用に全身タイツ覆面男とガードフェンスが接して凍着した部分に飛んで濡らして、接着剤になっている氷を解かす!
ちなみに「ブルーローゼズ・ヒーリング(青薔薇の癒し)」は、必殺技なので「メイクアップ・コーディネーション」(万能系魔法)から独立して唱えることになっている。
だが、一応回復系効果に限定されているものの、今回で言うと「ダンス・オブ・スプラッシングウォーター(生ぬるい水しぶきの舞い)!」の部分のように付け足しをすることで、効果を状況に合わせて引き出せるなど、万能に近いところは、「メイクアップ・コーディネーション」と同様に「ご都合主義」であり、子供向けアニメのご愛嬌である。
しかし、それは使用者のイメージ次第に依存していることで、使用者のイメージ力や精神状態に左右されるということで、いつでも同じ効果が期待できるわけではないという、使い勝手の悪さもあるのだ。
幸い、今回は的確な効果が発揮され、全身タイツ覆面男はガードフェンスから解放され、その際に浴びたはずの水しぶきによる濡れも都合よく乾いて(癒し効果の一環で?)身体が冷えるのを防ぎ、凍傷も治っていた。
「助かったよ、ありがとう!ぅぅぅぅっ、寒い!」
「そりゃあね。私も人のこと言えない薄着だけど。これは魔法での変身で見た目だけだし。でもあなたの場合は……。
はい、これ、キーパーグローブと学校の上履きでも無いよりはマシだと思うから。なんならこのマフラー(ストール)も。あ、このポンポンも空気を含んでて暖かいから防寒に役立つかも?」
「おお、何から何までお世話になって。それなのにこんな覆面では悪いから、実は自分の正体は……」
「『シャノワール』が送り込んできた、怪人さんでしょ?」
「ギクッ」
「そこでギクッってするくらいなら、何で正体明かそうとしたの?」
「いや、条件反射的に、つい……」
「まぁ、いいけど。で?身動きとれるようになったところで、これからコーデバトルする?」
「いやいや、もうその前の段階で時間使いすぎちゃったし。キミは見せ場の変身と必殺技をもう使ってるから。今回はこれで失礼しよう。アデュー!」
そう言うと、全身タイツ覆面男はそそくさとガードフェンスの向こう側に隠れるようにして、その場を去って行った。
そんなハプニングもありつつも、奏(かなで)の氷雪迷宮の探索は続く。
to be continued...
※※これはフィクションです※※
『猫神!』世界で放映されている設定の、物語内物語になる魔法少女ものアニメ『空猫†クローム』の続きは、何か思いついたらね!
「それが……氷雪迷宮の探索者を……要はキミのことだけど。驚かせるのにこんなポーズはどうだろうと試したら……うっかり素手だったのを忘れて直接冷たい金属に触っちゃって。
無理やりはがすと手は皮膚がはげちゃうし。全身タイツも……全身タイツはボクにとって第二の皮膚のようなものだから破けるのは嫌、というか伸縮性バツグンでこれだけピチピチで着ていると、伸びる前の生地の大きさ的に、破れたところから風船が割れるようにとは大袈裟だけど、似たような状態になったら非常にまずいことに……。
ともかく、身動きがとれなくて困ってるんだ。助けてくれないだろうか?」
「助けるといっても、どうすればいいの?」
「氷点よりも温度の高い水やぬるま湯で、凍着してる接触面の氷を解かしてもらえれば。キミの回復系必殺技の『ブルーローゼズ・ヒーリング(青薔薇の癒し)』の応用で水を生じさせることができれば……氷を解かすだけでなく、凍傷の治療にもなって一石二鳥のはずだ」
「……なんかものすごく虫のいい話を振られてる気がするけど。わかったよ、やってみるね。
メイクアップ・コーディネーション!」
奏(かなで)が空猫†クロームプリンセスに魔法変身する。
ちなみに呪文の「メイクアップ・コーディネーション」は、ほぼ万能で、使用者のイメージした魔法が発動するタイミングを知らせ、勝手に発動しないための制御ワードみたいなものだ。
その後にたとえば「ファイヤー・ボール!」と付け加えて、魔法の火の玉を飛ばしちゃうよ☆と親切に伝えることもあるが、連続で魔法の発動をするなど時間短縮の必要の際には「メイクアップ・コーディネーション」自体も省略される傾向になる。
「ブルーローゼズ・ヒーリング(青薔薇の癒し)!ダンス・オブ・スプラッシングウォーター(生ぬるい水しぶきの舞い)!」
奏(かなで)が必殺技を唱えると、奏(かなで)の周辺に生じた粒感の大きな(生ぬるい)水しぶきが、器用に全身タイツ覆面男とガードフェンスが接して凍着した部分に飛んで濡らして、接着剤になっている氷を解かす!
ちなみに「ブルーローゼズ・ヒーリング(青薔薇の癒し)」は、必殺技なので「メイクアップ・コーディネーション」(万能系魔法)から独立して唱えることになっている。
だが、一応回復系効果に限定されているものの、今回で言うと「ダンス・オブ・スプラッシングウォーター(生ぬるい水しぶきの舞い)!」の部分のように付け足しをすることで、効果を状況に合わせて引き出せるなど、万能に近いところは、「メイクアップ・コーディネーション」と同様に「ご都合主義」であり、子供向けアニメのご愛嬌である。
しかし、それは使用者のイメージ次第に依存していることで、使用者のイメージ力や精神状態に左右されるということで、いつでも同じ効果が期待できるわけではないという、使い勝手の悪さもあるのだ。
幸い、今回は的確な効果が発揮され、全身タイツ覆面男はガードフェンスから解放され、その際に浴びたはずの水しぶきによる濡れも都合よく乾いて(癒し効果の一環で?)身体が冷えるのを防ぎ、凍傷も治っていた。
「助かったよ、ありがとう!ぅぅぅぅっ、寒い!」
「そりゃあね。私も人のこと言えない薄着だけど。これは魔法での変身で見た目だけだし。でもあなたの場合は……。
はい、これ、キーパーグローブと学校の上履きでも無いよりはマシだと思うから。なんならこのマフラー(ストール)も。あ、このポンポンも空気を含んでて暖かいから防寒に役立つかも?」
「おお、何から何までお世話になって。それなのにこんな覆面では悪いから、実は自分の正体は……」
「『シャノワール』が送り込んできた、怪人さんでしょ?」
「ギクッ」
「そこでギクッってするくらいなら、何で正体明かそうとしたの?」
「いや、条件反射的に、つい……」
「まぁ、いいけど。で?身動きとれるようになったところで、これからコーデバトルする?」
「いやいや、もうその前の段階で時間使いすぎちゃったし。キミは見せ場の変身と必殺技をもう使ってるから。今回はこれで失礼しよう。アデュー!」
そう言うと、全身タイツ覆面男はそそくさとガードフェンスの向こう側に隠れるようにして、その場を去って行った。
そんなハプニングもありつつも、奏(かなで)の氷雪迷宮の探索は続く。
to be continued...
※※これはフィクションです※※
『猫神!』世界で放映されている設定の、物語内物語になる魔法少女ものアニメ『空猫†クローム』の続きは、何か思いついたらね!
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