静かになった夜、このとある厨房では戦争が始まるのであった。
「隊長! パプリカ軍が戦争を仕掛けてきました!」
「よろしい、ならば戦争だ。お前ら武器を持て…!!」
冷蔵庫から出てくる緑のモサモサ、彼等は人間の皆が見たことがある、嫌という程見てきた…特徴的なあのブロッコリーである。
「野郎共ォ! 今日の目標は我等の領土(冷蔵庫)からパプリカ無くすぞ!!」
そしてブロッコリー達は進撃し始めた。野菜達は皆、この戦いをこう呼ぶのであった。
『第***次、ベジタブル大乱闘 〜反逆のモサモサ戦〜』
*
ブロッコリー司令官は台所からパプリカの奇襲を監視。
隊長は部下の一般兵ブロッコリーを引き連れて、爪楊枝を持って進撃準備。
「赤色の……おい! パプリカ軍の奴等が来たぞォ!!!!」
隊長と一般兵は武器を構える。
「行け!! パプリカを一つ残らず駆逐するのだ!!!!!」
隊長の進撃合図で一般兵ブロッコリー達は一斉にパプリカの集団に突撃した。
「甘いなモサモサ!! パプリカ軍、切り込めぇええ!!!!」
パプリカ軍も進撃して、ブロッコリーとパプリカの全面戦争が始まった。午前2時のことである。
転がる仲間達の屍、こみ上げる悲しみすべてを乗り越えてブロッコリーとパプリカは追撃する。
しかし! パプリカ軍の方が多く有利だった。特徴的なモサモサが無くなり、地面に転がるブロッコリーの屍。生き残った幸運なブロッコリーに残るは、絶望と悲しみだった。
「所詮、ブロッコリーはモサモサしてるだけの野菜だな!! 残りの奴等にトドメをォ!!!」
命を散らす覚悟で正面からパプリカに立ち向かう生き残ったブロッコリー達、その時…思いがけない出来事が起こった。
「待たせたな、モサモサとシャキシャキ共ォ!!!!」
白い、先端に丸っこいモノがついてる彼奴…そう、呼ばれてない誰も待ってないのに登場したのはえのき茸軍だったのだ。
高笑いするえのき茸に対し、ブロッコリー軍とパプリカ軍のほとんどが…舌打ちをした。また厄介な奴が出てきた。
「あー……出てきたなヒョロヒョロ」
「なあブロッコリー軍、あのKYなヒョロヒョロどうする?」
「決まってるだろ…!!」
隊長のブロッコリーがゲスになった瞬間が、これだ。
「この時だけ俺等が団結して、何か腹立つヒョロヒ……えのき茸軍をぶっ潰す!!」
ゲスい考えに反論は無かった。この時だけ、ブロッコリーとパプリカは団結してえのき茸に突撃するのであった。
恐れることもなく、とびっきりのゲスオーラ全開で。
*
10分後、ブロッコリーもパプリカも残るは隊長だけとなった。最後まで共に戦った仲間は無残に屍となり、ブロッコリーとパプリカの謎の団結突撃でえのき茸は登場しておよそ3分で絶滅した。御愁傷様です。
「おいモサモサァ…! ここは隊長らしく、一騎打ちで勝負決めようぜ……!!」
「望むところだ…! 滅べパプリカァア!!!」
両軍の隊長は軍の誇りを守るため、己の命を賭けて突撃した。
「…っていうボードゲームが白軍で流行ってるらしいので、借りてきました。神南も呼んできてるから黒軍の皆と俺等でやろーよ」
赤軍の少年、五月雨が楽しそうに言う。
「今日は休戦してやりたいネー…切り込み隊長も息抜き必要、これテストに出るよ」
「ブロッコリーとパプリカのボードゲームやりたい!」
ちかと燕は興味に示している。一方、りみと梓音は言葉に出来ないような感情だった。
「…先輩。何故ブロッコリーとパプリカが戦争を」
「私もわかんない……ね、ねえ五月雨くん。ブロッコリーはパプリカに因縁があるの…?」
「実際には無いっぽいけど、何か面白いじゃん? なわけで皆でレッツプレイ!」
いつの間にか準備が出来ていた。
ちかと燕が好奇心の目で見てきたため、りみと梓音も渋々参加することにした。
その数日後、ブロッコリーとパプリカのボードゲームがいろんなところでヒットしたとかしてないとか。
*反省
久しぶりです。
息抜きとリハビリのために学戦の番外編書いてみました。今回も展開が迷走してました。そして短い。
燕ちゃんは本編ではまだ未登場ですが、二話ぐらいに登場させたいなーと。
Twitterで時々語ってるので創作関係はそちらを((