「ふーん…アロワナ、ねぇ」
書類を届けにやって来て、特注の巨大水槽を風呂代わりにしながらザンザスの話を聞いた雲雀は、あまり興味がなさそうに返事をした。
「それでこんなに巨大な水槽なんだ」
「アロワナを飼うならこのくらいはないとな」
「勿体ないな、風呂にしちゃえばいいじゃないか」
「アロワナってよ…塩で焼いたら美味いだろうな」
「これからアロワナを飼おうとしている人間の言葉とは思えないよ」
ザンザスの言葉に思わず突っ込む雲雀。そしてなにやら思い出したように口を開いた。
「そう言えば…獄寺隼人の飼ってるアロワナはワイルドだって言ってたよ」
「ワイルド?…なんだそりゃ」
「養殖個体じゃねぇ、野生のアロワナってことだぁ」
スクアーロの言葉を聞いて、ザンザスの頭にはアマゾン川を優雅にのびのびと泳ぐアロワナの姿が浮かぶ。
「野生…はっ、俺にぴったりの言葉じゃねぇか」
「あとあの人も魚を飼ってるらしいよ」
「あ?誰だあの人って…」
「彼だよ。名前なんて言ったっけ?ほら、あの三つ編みの…あ、思い出した。ファン」
「あぁ…アルコバレーノのファンか」
「そうそう、アルコバレーノのファン」
「ファンじゃなくてフォンだろうがぁあっ!!!」
スクアーロの的確な突っ込みがあるも、ザンザスと雲雀にとっては他人の名前等どうでも良いことだ。フォンだろうがファンだろうが通じれば良い。
「ボスさんよぉ…風に飼い方聞いたらどうだ?」
スクアーロの提案にザンザスは鼻で笑い飛ばす。
「この俺にアルコバレーノの指南を受けろってか?だからテメェはいつまで経ってもカス鮫なんだ」
「そう言わずに聞いてあげなよ。彼、最近出番がハルハルインタビューしかないって不貞腐れてるから」
「ガキかあいつは…」
果たしてザンザスは風に教えを請うのか…雲雀は真剣に考え事をするザンザスを横目に水槽風呂から上がると、常人では考えられないスピードで服を纏い、ネクタイを締めながら言った。
「最近、マフィア界ではちょっとしたペットフィッシュブームらしいよ」
僕もなにか飼おうかな、アンコウとか…と言いながらヴァリアー邸を後にする雲雀。
「アンコウって…あいつ絶対ェ鍋にして食うつもりだぜ…」
「あぁ…奴なら魚も咬み殺すぞ」
「で…風の所に行くのかぁ?」
「…任務だ。カス共を召集しろ」
続く
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超久々に日記限定小連載を更新しました。
べ、別に忘れてた訳じゃないんだからっ!!ちょっとネタが浮かばなかっただけなんだから!!
そんな訳で次回は風師匠登場です。