今まで仲が良かった人や知り合いの記憶から完全に自分の存在が消えていたとしたら、どれくらい辛いのだろうか



友人や知り合い、家族から私の記憶だけがすっぽりと抜けていた
話し掛けても知らないと云われるか、存在すら気付いて貰えない事もあった

誰か私を覚えてる人は居ないのだろうか?知っている人は居ないのだろうか?

あまりにも孤独で、不安で泣きそうになりながら誰か私の記憶が残っている人を探し回った

それでも自分が求める人は見付からず、けれども諦めず駆け回っていた
疲れるけども、苦しいけども私を覚えてる人が居る確率が0じゃないなら平気だと自分に云い聞かせながら


ふと気付くと身体が浮き、空を走っていた
息切れもなく、スムーズに走れる
身体も軽かった

わぁ、凄いな
これならどんな場所にも行ける

そんな事を考えながら何気無く自分の姿をたまたま近くにあった硝子に映してみた


硝子に微かに映っていたのは魚だった

そして全てを悟る



ああ…だから…
これじゃあ誰も気付かないよな



寂しかったけれど私は海に帰る事にした