憎いと吐いた同じ唇で愛していると吐く。
眩暈がした。昔と変わらぬ残酷なこの男に。
しかし、愛していると訊いた俺の胸の妙な高揚感に吐き気を催す。
俺は――――まだ夢に見ているというのか。
嫌気がさす。己自身に。
未だにこの男を想い続けている俺に。
俺達は敵だ。
自ら選んだ。
全て捨てたのだ。
だから、友を斬った。
この男とどう違うのだ、同様に殺れる筈だ。
きり丸は自嘲的に笑い対峙する半助を見た。
「何言ってんすか。
俺に聞かないで下さいよ。
俺達今から殺し合いを始めるんすよ」
そう吐けば、半助は「そうだな」と腰に掛けた刀に手をやった。
きり丸は反射的に、身構え己も刀に手をやった。
目の前の男をじっと見やれば。
微笑んだ。
あの――――きり丸が大好きだった、優しさが溢れたあの笑みで。
「さて。
殺し合いを始めようか」
鳴呼、やはりこの男は残酷である。
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土井→←きり丸←長次×カメ子な暗い同人誌が描きたい。
土井先生ときり丸の間に何かがあってきり丸は抜け忍になり敵へ。
色々起きて福富家を長次以外全滅させたきり丸、唯一生き残った長次。