ざあざあと雨が降る。
黒子は雨の音が苦手だった。
(今日は寝れそうにありませんね…)
こんな時に連絡を取れる相手は青峰しかいないが、先程まで彼と電話をしてしたし、明日は朝練があるということでもう寝ようということになっところだった。今さら電話をかけ直すこともできない。
(なんで電話を切った後に雨が降りだすんですかね…)
(…あおみねくん…)
窓の外で何かがぶつかるような音がしているが、雨の音かもしれない。布団に頭まで潜り、耳の奥に残っている青峰の声をかき集める。
〜♪〜♪
突然着信音が部屋に鳴り響く。これは青峰専用にしてある音だ。もう日付も変わって1時間以上経っている。こんな時間に青峰から電話がくることは珍しい。
「…もしもし」
『おー、テツ』
「なにかありましたか」
『ちょっと窓開けてみろよ』
「?」
カーテンを開けると、そこには傘をさした青峰がいた。
「なにしてるんですか!」
『んー、テツの顔見に?』
「と、とりあえず上がってください!」
急いで玄関の鍵を開け、青峰を迎え入れる。そのままびしょびしょの青峰を風呂場へ彼専用と化したXLのスウェットと共に押し込んだ。
「ほー、あったけー。テツさんきゅー。」
ほかほかと湯気を立てながら青峰が風呂場から出てきた。そのままベットの上に座り込むと、自分の隣をボスボスと叩いた。黒子はもそもそと移動しながら青峰にお茶を手渡した。
「どうしたんですか、こんな時間に。」
「んー、電話切った後雨降ってきて、テツ寝れねえかなって思ったら体が勝手に動いてた。」
「…なっ、」
「やっぱ来て正解だったな。ほらよ」
青峰はテーブルにマグカップを置くと、黒子を抱き締めた。青峰の体温が黒子に移っていく。青峰の腕に抱かれ安心したのか、黒子の瞼が落ちてくる。
「あ、おみね…くん…」
「ん」
「あり、がとう…ございます…」
「おう。おやすみ、テツ」
「おやすみ、な、…さい…」
雨の夜。
(雨の音は怖いけれど、あなたがいてくれるなら。)