Step;1 手を繋ぐ


オリジナル妄想ホモ注意!
何でも許せる方向け!!











友達から「好きだ。付き合ってくれ」と言われた。
これは間違うことなき告白であり、彼は同性であり友人であり無愛想である僕の事が恋愛対象として好きなのだと言う。
それまで彼の事を意識したことは正直一度もなく、僕からしたら突然の告白に頭は真っ白で、それでも尚絞り出した台詞は「少し、考えさせてくれ」なんて、当たり障りの無い無難な答え。
まぁ、そう答えた以上考えない訳にもいかないので、今こうして僕は一生懸命考えている。
彼の事が好きなのかどうか。
嫌いではない、でも、好きかと言われると分からない。
一番手っ取り早く判断できるのは誰かと比べた場合だけど、そうそう比較対照になる人物なんて現れる筈もなく、どうしたもんかと途方にくれる。
考えすぎて駅への道を逸れて裏通りに入ってしまうくらい集中してしまった。此方は遠回りになる上人通りも少ない簡素な住宅地なので、普段も通ることは無い。
しかし既に来てしまったものは仕方なく、多少の遠回りを覚悟して駅へ向かうことに決めた、その時、背後から近寄ってきた車が不意に僕の横で止まる。
不思議に思い僕が振り向くと、車の窓が下がるのが見えた。
運転席から、ぱっと見人の良さそうなおじさんが僕を見ている。

「済みません、病院へ行きたいんですが道が分からなくて困っていて。教えていただけますか?」

丁寧語で少し困った風に道を問われて無視できる程、僕は無神経では無いつもりだ。
けれどもここから病院までの道のりを言える程、この辺りに詳しくもなかった。
悩んだ末、僕は簡潔に駅への行き方を伝え、そこでちゃんとした地図を見ながら教えて貰ってはどうかと言う提案を出す。
運転手のおじさんは「そうですか、ありがとう」とお礼を言った後そのまま走り去るかと思ったのに、ここから更に言葉を続けた。

「君はとても親切で良い方だ。出来れば何かお礼がしたいのだけれど、私に出来ることは無いかな?」
「いえ、別に大したことではないので、気にしないで下さい」
「それでは僕の気が済まない。と言うか、正直に話すと君に興味があるんだ」
「はい?」

病院へ行きたいと言うのでよっぽどの事かと思い早々に立ち去ろうとしていた僕だが、流石に"君に興味がある"なんて言われて思わず聞き返してしまう。
おじさんは笑顔を崩さず、真っ直ぐに此方を見据えてもう一度繰り返す。

「どうやら君に一目惚れしてしまったようだ」

本日二度目の告白は、またもや同姓で見ず知らずのおじさんで人当たりの良さそうな人からだった。
僕は今、人生初のモテ期というやつなのだろうか。
それにしても、二度も連続で同姓から告白されるというのは、一大事なようにも感じる。
ただし、目の前のおじさんに対して思うことは『この人変態だ』だった。
僕はどんなに目が曇っても女の子に見えるようなルックスではないし、声だって制服だって男のそれだ。第一についさっき声を掛けた男子高校生に「一目惚れしてしまった」なんて言えるのは頭のネジが足りない人だろう。
駅の近くは変質者が出ると言う噂を聞いたことはあるが、まさか男も被害対象の内とは想定していなかった。成る程正に"変質者"だ。
納得した所でどうしたもんかと再び考える。
このまま走って逃げたところで向こうは車、追いかけてくる気なら逃げ切ることは難しい。変に答えて無理矢理車に乗せられるのもあまり気が進まないし、僕は喧嘩も強くないから暴力沙汰になれば確実に負ける。助けを呼ぼうにもスマホは鞄の中だ。
説得しようにもそもそも変質者にまともな思考があるのか怪しい。
固まってしまった僕を見兼ねたのか、おじさんがやんわりと話し掛けてくる。

「突然こんなことを言われて困っているだろうけど、私は本気だよ」

口調こそ最初と変わらないのに、言葉遣いは段々と丁寧さが欠け、僕の逃げ道も塞いできた。
なんだかもう色々と考えるのが億劫になってしまい、取り敢えず後先考えずに走り去ろうかなぁと思った途端、あるアイディアが浮かんだ。
この人に、彼の比較対象となって貰うのはどうか。
それまで現実味を帯びていなかった考えが、途端に色付き始めた。
実際、同時期にしかも同性から告白を受けるなんて奇跡が匆々起こる筈も無い上に、この二人は僕にとって全く正反対の性質を持っている。心配なのは片方が見ず知らずの変態である点だが、この際贅沢は言ってられないかもしれない。
もし変態さんと出来ないことが彼とだったら出来た場合、僕は彼のことが特別に好きなのだとはっきりして変態さんとはそれでお仕舞いになる訳だから、それまでの短期間に少々の関わりを持つくらいは目を瞑るべきだろう。それに相手が多少変態だったりする方が、別れる際も言い訳を考えずに済みそうだ。
成る程、考えれば考えるほどこの状況は僕にとって利用するべきもののように感じる。
そうと決まれば僕は車の中から覗き込む黒い瞳を見詰め返した。

「考えてみたのですが、僕も貴方に頼みたいことが出来ました。僕でよろしければ、理由はありますがお付き合い願います」

流石に本心をそのまま口にすることは憚られた為、誤魔化しながらも気持ちを口にする。
おじさんはそんな僕の言葉の真意を深く追求することなく笑顔を輝かせた。

「そうかい!いや、私の方は何の問題もない。その言葉で十分だ」
「では、宜しくお願い致します」
「此方こそ。で、早速悪いんだが、今後の事やお互いの事を話したいんだけれど、今から時間はあるかい?」
「ええ、大丈夫ですよ」

契約が成立したところでおじさんから提案が出たが、僕はそれに二つ返事で頷く。せめて連絡先だけでも聞いておかなければ、次にも繋がらない。
おじさんは「場所を変えよう。ここでは目立つからね」と言って車の助手席を勧めてきた。
僕は何の疑問も抱かず、素直に従う。
おじさんの車のドアを開け、一歩踏み出した時だった。

「すみません、こいつ今から俺と用事あるんで」

聞き慣れた声と同時に後ろへ強く引っ張られ、僕はバランスを崩す。
あ、と思う間もなく傾いた身体は止めようがなく、次いで来るであろう衝撃に備え身を硬くしたのだが、思ったよりも暖かい感触に受け止められた。
後方から香ってくるのは、彼のよく使うデオドラントの香り。
振り向くことなく、僕は名前を呼んでいた。

「太陽」
「ほら、行くぞ月兎」

そのまま強引に手を引かれ、無理矢理駅へと歩かされる。
せめて最後にあのおじさんへ何か言おうと思っても、どんどん進む太陽のペースに引き摺られ、言葉が出てくる前に車との距離は声が届くより離れてしまった。
ちらりとおじさんが追い掛けてくる可能性を考えたが、その車は動く気配もなく僕は半ば引き摺られるように駅へ辿り着く。完全に車が見えない所まで来ると、太陽は僕の腕を離した。
先程とは打って変わり、辺りが人の気配で一気に賑やかになる。
結局あのおじさんの連絡先も聞けず仕舞いだ。これではもう、会うことも無いのだろう。そう思うと少し勿体無いことをしたような気分になった。
僕の不服な気持ちが顔に出ていたのか、太陽の声も厳しい。

「一応確認しとくけど、知り合いじゃ無いよな?」
「違うよ。道を聞かれたら答えただけ」
「じゃあ別に車に乗り込む必要なかっただろ……知らない人にホイホイ付いていくなよ、心配する」
「でも、あの人からも告白されたんだ」
「はっ!?」
「丁度君に告白されて考えてる最中だったから、都合良いかなって思って、付き合ってみるつもりだった」

彼の言い分は最もだ。
だけど、僕にも事情というものがある。
「心配する」と言ってくれた彼のために、嘘は付かないでおこうと思い、正面から向き直り正直かつ簡潔に状況説明をした。
だけど僕は、言葉を選らばな過ぎたらしい。

「…………あぁ、そう」

彼にしては珍しく呆気なく引いてくれたと思ったら、その表情は固く強張っていてまるで何かを我慢しているようで。
深く考えもせず、僕はもう一つ言葉を重ねる。

「だから、君が心配する必要は無いよ」

僕の事で太陽の手を煩わせたくない。
僕は、そう言ったつもりだった。

「悪かったな……俺って唯のお邪魔虫じゃねぇか……」

なのに、太陽のその言葉で、僕は思わず息を飲んだ。

「そんな事は言っていない。寧ろ感謝してる」
「あの親父と付き合う切欠になったからか?」
「えっ」
「お前には悪いけど、そんなことで感謝されたくない」
「太陽?何を言ってる?」
「俺、結構真面目に考えて告白したからさ……お前とあの親父が付き合うって言われても、素直に喜べねェわ」

太陽の顔が大きく歪み不意にそれを隠すように背けられて漸く、僕は彼が大きな勘違いを犯していることに気付いた。そして彼をそうさせたのは僕の言葉のせいだと言う事にも。
心に物凄い衝撃がきて、それから抑えられない衝動が沸いた。
今まで生きてきた中でも、こんなに我を忘れたことは無いかもしれない。
僕は無我夢中で太陽を振り向かせると、目が合った瞬間に叫んだ。

「ごめん!違うんだ!君を傷付けたい訳じゃない!!」

これには、太陽も驚いたようだった。
実を言うと声を張り上げた僕自身ですら驚いている。
僕の短くもしっかり歩んできた人生の中で、こんな大声を出したのは初めてだ。
そして、周りから視線が幾つも突き刺さる。
忘れていた。ここが人混み賑わう駅だということを。
慌てて人通りの少ない所へ二人して移動する。今更な気もしたが、周囲の人々は自分達の事で精一杯なのか、それ以上僕らを気にする様子もなく通りすぎて行った。

「びっくりした」
「うん、僕も」

ポツリと太陽が呟いて、僕もそれに倣うと、自然と笑えてきて。

「ははっ、お前、あんな大声出せんだな」
「僕も知らなかった。何せ人生初だから」

それまでの剣呑な空気が一瞬で何処かへいってしまい、其処からは何も気取ること無い何時もの雰囲気が僕らを支配した。
お陰で素直な言葉が出てくる。

「太陽、勘違いさせてごめん。僕なりに君から告白されたことを考えて、僕は君の事が好きだと思った。だけれど、僕の好きが君の言う恋愛感情としての好きなのかがわからなくて、誰かと比べたらそれがはっきりするんじゃないかって思ったんだ」
「……そうか」
「あのおじさんはタイミングが良くて、つい君との比較対象に選んでしまったけれど……でも君の言う通り、知らない人に無警戒で付いて行くものでは無いし、ましてやあんな怪しい人と付き合うだなんて考えてしまった自分が恥ずかしいよ。以後気を付ける」
「そこはそうしてくれると俺も助かる。まぁ、心配するのに変わりはねェけど」
「ふふ、それは僕を好きだから?」
「お前を好きだから」
「ありがとう」

確認するように好きを重ねると、太陽もさらりとそれに答えてくれた。
駅の片隅で何をやっているんだと問い掛ける理性が今は少しだけ邪魔に感じる。

「月兎」

ふと、太陽の声のトーンが下がった。
この声色は聞き覚えがある。

「お前が俺の事、好きだって言ってくれんなら、一つ提案がある」
「何だい?」

太陽は勿体ぶるように一呼吸置いて、口を開いた。

「他の奴と比べるくらいなら、俺自身でお前の好きを試して欲しい」

僕を真っ直ぐ射抜く視線と身体にじわりと染み込んだ彼の言葉。
この感覚は、あの時の再来。
もう一度、告白されている気分だ。
心臓が大きく跳ねた気がした。

「詰まり、恋人として僕が君と何処まで接する事が出来るか、君自信で試せって言っていると取って良い?」
「そう、だな。俺の知らねェ奴で試されるより俺自身気が楽だし、何より元から玉砕覚悟してんだ。今更何を拒絶されても諦めはついてるよ」
「ふうん。それって何だか別れる前提で付き合ってくれって言われているみたいだよ」
「いや、別にそう言う訳じゃ……お前が嫌ならそれ以上の事はしないって言うか、俺は平気だから後はお前次第って意味であってだな……!」

下手な勘違いには懲りたので、もう一度太陽の言葉を僕なりに反復して繰り返す。
どうやら僕の解釈は間違っていなかったらしく、彼は力なく笑いながらも肯定し、捨て身の告白であることも吐露してくれた。
だけどその言い方は余りにも僕の胸に刺さったので、仕返しとばかりに揚げ足を取ってみる。
目に見えて狼狽え出す太陽は珍しくて、僕はまた笑いを堪えきれなかった。
笑顔のまま、僕は答える。

「分かった」
「うん?」
「そう言うことなら僕からもお願いするよ。太陽、僕とお試しで付き合って下さい」
「えっ、あっ、はい」

最後は一寸した意趣返しのつもりで、彼の台詞を捩ってみた。
自分で言い出した事なのに、太陽はまるで予想外の返答を得たみたいな顔をする。
中々に見れない間抜け面。
僕は先程から彼に笑わされてばかりだ。
太陽と居るのは、本当に楽しい。

「まぁ僕は、玉砕なんて覚悟無いからね」
「っ!俺だってそんなん願ってねェよ」
「じゃあ先ずは、手でも繋いでみる?」
「……いいのか?」

あんなに一人で悩んで考えていたことが馬鹿らしく思える。
知らない変態さんと付き合うより、こうしていた方が随分と手っ取り早くて簡単で、何より断然心が軽い。
隣で優しく笑う太陽が普段より特別に見えて、僕は気分良く手を差し出した。

「勿論!」

太陽の手は、暖かいから好きだ。






*****

リハビリに書き出したオリジナルホモです
登場人物の名前は
攻:日苅野 太陽(ひかりの たいよう)
受:星空 月兎(ほしぞら つきと)
です。何も考えてないです。馬鹿丸出しです。
取り敢えず書きたいシーンのみを抽出していくので分かりにくいのは仕様です
続きも考えていますが、何分書くのに時間がかかるので、末永く待ってくださると助かります←
誤字脱字、何かしら指摘御座いましたら気軽にコメント下さいますようお願い致します
一応書きますが、この文章はフィクションであり実在の人物等とは全く関係ございません
追記にて長い讒言吐き出しておきます
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老化していく身体に若返る精神


今日は朝から何やっても駄目な日っぽい空気を嗅ぎ付けて、朝から何もしない!と決めていたので何もしませんでした!
こう言う過ごし方ができちゃう辺り、私です
本当に時間の無駄遣いですよ!私の生き方は!!
周りがなまじちゃんとしてる人ばっかで、結構精神的に来る場合もあるんですが、魔法の言葉
他所は他所、私は私
これで今日も無事乗りきってます
不意に襲ってくるどーでもいい感じが自分でもヤバいの自覚してるんで、それに勝る萌えを早く見つけたいです
今のところ血界戦線なんですけど、私こう言うの語る人が居ないと燃え上がらないんだって今更ながら気付いて愕然としました
布教したいのに布教する人が居ない……ぼっち辛ぁ……( ;∀;)
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