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ヴィリジアンブルー
2024-5-15 12:43
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2016-11-30 17:25
青の解放
制服のボタンが窮屈になる
受験生の冬を乗り越えるまで
目隠しをして歩かされるような
千鳥足の醜いアヒルの子は
体育館でダンクシュートを決めて
自分だけの時間割を作った
いつもバスケットシューズを履いて
短くなったズボンの裾を入れ
軽く汗を流すのが日課だ
もうすぐ始まるセンター試験の
◯とXで決める答えのように
人の生き方は選べないけれど
目の前にゴールがあったとしても
それはひとつのハードルに過ぎず
どうせなら鮮やかに飛んでみたい
桜咲く人も散る人も今日は
くたびれた制服を脱ぎ捨てて
僕はネクタイを頭に結び
得意のシュートで羽ばたいてゆく
2016-11-30 13:28
逃亡者へ
あなたの体が人間だから
真っ白な人魚たちを抱いた後
深い海の底に投げ捨てたんだ
人魚にもなれなかった私は
水の冷たさや体温でさえも
知る事は無いのかも知れないけど
遠い世界の出来事のように
私を囲む壁もまた冷たい
ダンスホールで踊り明かす夜を
幾つ越えても燃え尽きぬ身体は
太陽の下でしか笑えなかった
寂しそうなあなたに声をかけて
同じ気持ちになれた気がしたのに
私は何を見て来たのだろうか?
今だからきっと言える事もある
あなたの心がハートだとしたら
真っ赤な林檎をひとつだけ剥いて
兎の形に変えて走ろう
2016-11-29 22:02
ララバイ
青白い月のUFOが誘う
空に浮かんだ雲海の向こうに
手を伸ばせばあなたの側に行ける
そんな幻に身を寄せながら
瞳を閉じると転がる太陽は
これが朝だと思い知る瞬間
夢のあとさきは
背中に張り付くあなたの両腕
私を支える枝のバランスを
優しく折ったら笑ってくれた
お腹の形が満月みたいに
大きくなって揺れる窓辺にて
一人で寂しくなった時には
耳元でずっと囁いてくれた
あなたの子守唄を口ずさんで
崩れそうになる膝を抱えた
私の体に宿した命が
あなたの分まで生きてゆけると
さよならとこんにちはの証を
今日もこの場所で唄っているから
互いの幸せを祈りに変えて
ホットミルクにそっと口を付けた
2016-11-29 20:41
シグナル
アルバイト先の制服のボタン
床に転がして戻れなくなった
子供みたいな言い訳を考え
働く事から逃げようとして
潰れそうになる自分を守る
流れ作業の毎日の中で
夢と向き合う時間の重なりが
少しずつめくられてゆく気がした
アパートのドアのチャイムが鳴ると
君がボタンを付けた制服に
僕のネームプレートが光った
朝が来て君が居てシフトが始まる
オートマティックなこの24時間を
どんなスピードで走って行こう
視界の外れで点滅している
夢という自我を見失わぬように
2016-11-29 16:12
路上
雪が降ったら外で遊ぼうよ
北風の誘いに耳を澄ませて
飛び回っていた冬のコーラスを
僕はもう唄う事が出来ずに
心の底から沸き立つような
地球との交信が途絶えたのは
数字と情報が踊る世界で
溺れそうになったのかも知れない
コンピュータがどれだけ進んでも
無垢だった心は汚れてゆくし
サンタクロースも信じなくなって
それでもあなたを意識している
ねぇ笑ってよ
その大きな瞳で
ねぇ触ってよ
この冷めた両手を
取り残された深夜の路上に
誰かが作った雪だるまひとつ
木の枝が示す帰り道の中
二人は遠く離れてしまったね
降り積もる雪に転ばぬようにと
北風の声を聞いた気がした
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