2013-8-12 19:29
※フリーホラーゲーム『Ib』の二次創作SS第3弾。
メアリー、無個性、ときて、ようやくギャリーさんがメインです。
…が、ゲーム本編でのBad Endが軸になっています。
・IbギャリーSS
・ゲームのネタバレ要素有
・Bad End
・色々捏造
・「聞き耳」「告げ口」辺りからのお話
・短時間で書き上げた突発クオリティ
上記注意事項にご理解頂けましたら、追記より本文へどうぞー!
『選択肢』
階段を一段飛ばして駆け上がる。コートの裾が広がって、足にまとわりつく。
走りづらくとも、そんな些細なことに気を取られている暇はない。
小さなあの子が、きっとアタシを待っている。
何が起こるか解らない美術館。一人で進んでいた時は、駆け出すなんて有り得なかった。
どこに何があるか解らない。何が飛び出すか解らない。辺りの様子を伺って、慎重に歩を進めていた。
それなのに。
今は、こんなにも息を切らして走っている。
もつれそうになる足を必死に動かして、回りの景色なんて目もくれず、ただひたすらに前へ前へと突き進む。
この先に、イヴがいるから。
メアリーと一緒に、いるから。
知ってしまった、真実。
メアリーの肖像画。
黄色い薔薇を持って微笑むあの少女は、可憐なあの女の子は、人間じゃない。
ゲルテナの作品。
散々怖い思いをさせられた、あの絵画や彫像と同じ美術品。
何故アタシ達に近付いて来たのかは解らない。
本当に好意を持って接してくれているのかもしれない。
危害を与えるつもりはないのかもしれない。
けれど、ダメ。
イヴは、貴方には渡さない。
強く気丈なあの子。
今、メアリーと二人で何をしているの?
恐い思いはしていない?
メアリー、貴方は何を思って、アタシとイヴに近付いたの?
例え貴方がどんなつもりでも、イヴに恐い思いをさせたら許さないんだから。
駆け上がった階段のその先。
見覚えのある影が二つ。
無事であることに安堵したのもつかの間、様子がおかしいことにすぐ気が付いた。
後ずさるイヴ。
表情のないメアリー。
その手に握られた、パレットナイフ。
あぁ、信じたくなかった。
この子が敵だったなんて。
あの化け物達と、一緒だったなんて。
「イヴっ!」
必死に声を張り上げて、二人の間に割って入る。
愚かなことに、アタシはまだ、メアリーの行動に何か理由があればいいと思っていた。
パレットナイフを手にして、イヴに詰め寄る、正当な理由。
ある訳もないのに。
突き飛ばした彼女は、床に倒れて動かない。
黄色い薔薇は作り物。
アタシが守ろうと思ったものは、一つ減ってしまった。
後ろ髪を引かれながらも、イヴの手を取り、新しい扉を開ける。
この子は、なんとしても守ってみせる。元の世界へ返してみせる。
イヴとメアリー。二人を助けることが叶わないのならば、せめて、この子だけは。
アタシが犠牲になってでも、守り抜く。
「…そんな目で見ないで、イヴ。」
大丈夫。わかっているわ。
優しいあんたの考えなんか、もう、全部お見通しよ。
だけど、ごめんなさい。
「アタシの薔薇とイヴの薔薇、交換してちょうだい。」
アタシは、あんたの意見を無視してでも、守りたいの。
どうしても守りたいのよ、イヴ。
…だからって、別にここから出ることを諦めた訳じゃないわ。
マカロンの約束だって、楽しみにしてるんだから。
ねぇ、イヴ?
あんたが泣かないように、頑張るから。
体を引き千切られるようなこの痛みも、隠してみせるから。
だから絶対、お母さんとお父さんの元に帰るのよ?
ねぇ、イヴ…。
END
行き当たりばったりで書き進めていたらこうなりました。
何故だ…orz
「ギャリーメインにSSを書こう!」と思いたった時は、もっとこう…イヴちゃんとのほのぼのになるハズだったのに…!
気付けばBad Endとかホント何事!?
次こそはイヴとギャリーのHAPPY ENDを…っ!
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