皆さんおはようございますσ(´・ε・`*)
続きです
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適菜 経済学だけでなく他の学問分野でも、十九世紀の人間のほうがはるかに深くものを考えていたと思います。もっとも十九世紀の人間は、十八世紀の人間のほうがはるかにマトモだったと言いますが。どう考えても近代以前の人間のほうが、根源的な考察をしていたと思います。
剛志 私もまったく同感です。十九世紀や二十世紀の初頭までは、貨幣の概念についてのまっとうな議論もあったのですから。
適菜 時代が進んでいけば世の中が真っ当になるというのは左翼の進歩史観に過ぎず、何ら裏付けのない思い込みです。
剛志 そうですね。私がさまざまな政策などに異論を唱えると「中野さんの言うことが正しいのなら、なぜそれが広まらないのか?」と混ぜっ返す人がいるけど、歴史を振り返れば、そんなもの。正しいことを言っている人が勝つ。正しいから世の中に受け入れられる、ということはめったにありません。
信子 より権威のある大御所に寄り添って、ポストを得て…って、ほとんど伝統芸能の世界ですよね。自然科学の世界では再現性や実証性のないものは受け入れられませんから、そうしたことは本質的に許されない。なぜ社会科学ではそうしたことがまかり通ってしまうのでしょうか?
剛志 わかりやすい例を挙げましょう。たとえば古代ギリシャのアリストテレスが提唱した「天動説」や「火・空気・水・土の四大元素」などは、自然科学の世界ではとっくに否定されています。
しかし政治哲学の分野では、いまだにアリストテレスがナンバーワンの学者だとして必死に研究している人がいるのです。
信子 パラダイムの有無そのものを疑う学問だから、権威に拠らざるを得ないのか……。
剛志 いや、権威主義ということではなく、字義通り、アリストテレスは今でも最高の政治哲学者なのです。私自身もヒュームが今でも最高だと思っています。
どうして、そういうことが起きるのか。私が尊敬するヒュームがまさにその答えを教えてくれました。人間とは何か、社会とは何かを探求する学問が哲学であったり、社会科学であったりするわけですが、人間の本質や社会の現実というものは、それなりの研鑽を積まなければ理解できない。子供や研究室に閉じこもった学者は世間知らずですが、社会を理解するということは、世間を知るということです。だから社会科学者も、職人が経験を積んで巨匠になるように人生経験を積んでさまざまな体験をし、世間や人間をよく知った者にならなければ、相応の学者にはなれないとヒュームは言っています。哲学者や社会科学者の思想の質は、その人の人格と切り離せないところがあるということです。
適菜 そうです。知性にはそれを運用する技量の問題が関わってくる。単なる知の集積は害にしかならないこともあります。
剛志 すると、アリストテレスのレベルまで達した者でなければ、アリストテレスの思想を真に理解できないということになる。アリストテレスのレベルまで達していない後世の連中が、アリストテレスの言ったことを誤読して伝えてしまうのです。アリストテレスはアリストテレス主義者ではなく、ヘーゲルはヘーゲル主義者ではなく、ケインズはケインズ主義者ではないなんてことは、普通にあります。だから、何百年経ってもみな飽きもせず古典をいじくりまわしているわけです。レベルの高い研究者でなければ、レベルの高い古典を理解することができず、仮にその研究者が理解しても、それは、同じくらいレベルの高い研究者にしかわかってもらえない。だから、広まらないし、後世に伝わらない。哲学や社会科学というものは、そういうはかない性質をもった学問なのです。
そう考えると、社会科学が時代とともに進歩できない理由がお分かりになるのではないかと思います。経済学なんか、百年前のケインズの洞察に未だに達していないどころか、退化しまくって、ついに縄文時代まで戻りましたからね。そして、ケインズの理論は、ケインズよりもはるかにレベルの低い経済学者たちによって馬鹿にされ続けてきました。
ウム…少し違うかもしれないが、国民党が台湾を統治したような感覚かな?つまり、レベルの高い本省人をレベルの低い外省人の連中が支配したという意味ね。
フリードマンもそうだが、日本で云えば、例えば竹中平蔵に多大な影響を与えた加藤寛にしろ、ケインズを理解出来ないんだから優秀な訳がないよな。そういう人物の影響力があるから問題なんだろうね。
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