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突然の告白に

最近、影山に避けられている気がする。

日向がそう感じ始めたのはほんの数日前だった。

いつからか、影山に対して想いを寄せていた日向はあからさまに視線を逸らされ、泣きそうになってしまう。




「日向、帰り…ちょっと付き合え」

「え?…あぁ、うん」

練習終わりに影山に誘われ、二人は一緒に学校を後にした。

帰り道、何を話していいかわからず、自然と無言になってしまう。
それでも日向には二人で居られる時間が嬉しくて、胸が高鳴るのを感じていた。




そうしている間に影山の家へと着いてしまった。

「じゃあ、な…」

「日向…ちょっと…入ってけよ」

「え?…うん」




影山の部屋へと通された日向は、言われるがままにソファへと腰をおろした。
こうして隣同士に座っているのがなんだか不思議に感じてしまい、自然と沈黙が続いた。

「あの、さ…」

沈黙に耐えきれなくなって先に口を開いたのは日向の方だった。

「お前さ…」

だが、日向の言葉を遮るように影山が口を開く。

「その……好きなヤツとか…いるのか?」

その言葉に日向は何も言えなくなってしまう。


日向が何も言わないのに痺れを切らせたのか、少々強引に唇を重ね合わせた。
数秒のキスなのに、妙に長く感じてしまう。

「んっ…な、に」

「…悪い」

「な、んで…お前が…そ、そんな…キスなんかするんだよ」

「お前が悪い。あんな顔するから…変に意識しちまうんだよ」

そう言った影山の顔は真っ赤で、日向まで恥ずかしくなってしまう。

「ひょっとして、影山ってさ…俺のこと…案外好きだったり…する?」

「…ムカつく程、な。お前は?…俺の事…その…どう思ってるんだよ」

「俺も…影山が好きだ」

日向がそう言えば、再び唇が重ね合わせられた。




ベッドへと押し倒され、露になった体に、影山の手が這わされていく。

「影、山…」

「日向、こっちも触るぞ」

「ん、あぁっ」

今まで誰にも触れられた事のない窄まりに影山の指が侵入してきた。
初めて感じる異物感に、日向は眉を潜めてしまう。

「痛いか?」

「ううん…で、も…なんか、変…」

「ちょっとだけ、我慢しろ」

そう言われ、ゆっくりと中を慣らされていった。


「日向…もう、射れるぞ?」

「え?──あっ、んあぁっ」

指とは違う圧迫感に、日向は眉をひそめる。

「痛い、か?」

「んっ…だい、じょ、ぶ…」

奥まで影山のモノが押し入ってきて、ゆっくりと腰を打ち付けられていった。

「ぁっ…んんっ…」

「ひな、た…っ」

「んっ、かげ、やま…あぁぁ、っ」

徐々に激しくなる動きに、日向は体を震わせて絶頂を迎えた──。

END



【あとがき】
去年くらいに書き始めて、ずっと放置してました(;・∀・)
終わり方微妙ですみません。
2017/03/28
神奈木
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忘れられない恋心は7

「ここか」

翌日、日向は東京に居た。
昨日の電話の通り、わざわざ人形焼を買い、新しい自分のマンションへと辿り着く。

「それにしても、やっぱ東京は人すげーなぁ」

そんな事を呟きながら、部屋の鍵を開けた。

「荷物、もう運んである。・・・にしても、こんなに多かったっけ?」

部屋に入れば、溢れんばかりのダンボールが出迎える。
荷解きは明日にするか、なんて考えながら、部屋の中へと足を進めていった。

「よぉ、遅かったな」

「だって、お前が人形焼買えとか言うから・・・って、はぁ!?」

いつも聞きなれた声に話しかけられ、思わず会話をしてしまったが、振り向けば、そこにはここに居るはずのない影山の姿があり、日向は思わず大きな声を出してしまった。

「うるせぇよ。近所迷惑だろ」

「だ、だ、だ、だって、お前・・・なんで、ここに居る!?」

「はぁ? お前が自分でこの場所教えたんだろ。合鍵も貰ったし」

「そうだけど。いや、だからって・・・な、なんで?」

「部屋見てわかんねぇの? 引っ越してきたから居るに決まってんだろ、ボケ」

「引越しって・・・なんで、それが東京に居るんだよ! お前はあっちで就職決まってただろ!」

部屋を見れば、確かに日向の物じゃない荷物が紛れていたが、ここは東京。
影山は地元で就職が決まっているはずなのに、驚かない方がおかしい。

「あぁ、それか。断った」

「はぁ!? なんで!?・・・あ、結婚断ったからか!」

「まぁ、それもある。社長はそれでも来てくれって言ってくれたけど、期待させるだけさせて、結局俺は日向を選んだ。もうあそこには居られない」

「だからって・・・」

「それに、もうお前と離れるのは嫌だ。だから、東京に来た。こっちで仕事も見つけた。ほら」

そう言って、影山は会社のパンフレットを差し出してきた。

「ここ、俺の会社じゃん!」

「だから、俺もここに住んだ方が近いし。文句あるか?」

「な、ないです」

なんだか上手く丸め込まれたような気がしないでもないが、これからも影山と一緒に居られるという事がただ嬉しかった。

「じゃあ、飲むか?」

そう言い、影山は冷蔵庫からビールを取り出してきた。

「おう、サンキュ」

ビールを受け取り、ソファに腰掛けると、その隣に影山も腰を下ろした。
あの時、日向の家にあったソファと同じもの。
でも、今度は変な距離なんてなく、少し肩が触れ合うと、日向は小さく笑みをこぼした。

「何笑ってんだよ」

「だって・・・このソファでこんな近くに影山が居るのが・・・すげー幸せだなって思って」

「・・・ボケ。これからはずっと近くに居るだろ。いちいちそういう反応されると困る」

「へ?」

「・・・すぐに抱きたくなるって言ってんだよ!」

「だ・・・へっ!?」

あまりにも唐突な発言に思わず驚いてしまうが、付き合っているのだから、そういう事があっても不思議はない。

「心配しなくても、すぐにシたりしねぇよ。告白して逃げられた事考えりゃ、こんなのいくらでも待てる」

「ぅっ・・・それは・・・ほんと、ごめん」 

「・・・何、マジな顔してんだ、ボケ、日向、ボケ」

「いや、だって・・・やっぱり逃げ出したのは・・・最低だったなって・・・。もし俺が影山だったら、絶対立ち直れないし・・・」

「・・・悪いと思ってんなら、もう二度と俺から離れていくな、ボケ」

「え?・・・うん!」

そう言った影山の顔は真っ赤で、日向は改めて今が幸せだ、と噛み締めた。

「あ、人形焼、食う?」

「おぅ」

「ってか、なんで人形焼?」

「前にテレビで見て美味そうだったから」

「ってか、そもそも自分で買いに行けよ」

「・・・めんどくせぇ」

ビール片手に人形焼を食べながら、今こうして何気ない話をしながら笑っていられるのもあの過去があったからなのかもしれない、と思った──。

END



【あとがき】
切甘書きたくて思いついたんですが、結構長くなりました。
またこの続編も書けたらな、と思ってるので、また読んでくれると幸いです。
2016/05/25
神奈木

忘れられない恋心は6

真っ直ぐ見つめられ、紡がれた言葉。
今度は逃げる場所なんてない。

「でも・・・俺じゃ・・・お前に、普通の幸せすら、あげられない」

「だから、俺の幸せをお前が決めんな。俺にとっての幸せは日向が隣に居る事だ」

「でも、お前・・・結婚するって・・・」

「そんなもん、とっくに断った」

「は? なんで?」

「言ったろ。俺の幸せはお前だって。あの日、お前に会って、やっぱり好きだとハッキリわかった。だから、お前が俺をどう思ってても、このまま彼女と結婚する事なんて出来ないし、しちゃいけないと思って、社長に断った。俺の気持ちは全部言った。だから、今度はお前のほんとの気持ちが聞きたい」

いつになく真剣な目で見つめられ、影山がどれ程までに自分を思ってくれているのかが痛い程伝わってきた。
そんな影山に言える事はもう一つしかない。

「俺も・・・影山が好き。ずっと・・・ずっと好きだ。諦めるなんて出来なかった。影山じゃなきゃ・・・ダメ、なんだ」

やっと伝えられた偽りのない想い。
それを受け止めるかのように、影山の唇が日向のそれにそっと重ねられた──。






旅行から帰ってきてから、二人は昔のように頻頻に会うようになっていた。

そして、大学の卒業式も終わり、明日には日向はここを離れる。

やっと気持ちが伝わったのに、ここで離れるなんて、と自ら決めた事を疎ましく思ったが、今更就職先を変える事なんて出来る筈もなく、日向は徐々に引越しの準備を進めていた。

それに、例え影山と離れても、今度はあの時とは違う。
離れる事が寂しくないと言えば嘘になるが、それでも、気持ちは繋がっていると思えば、それも対して寂しくなくなる。

「これで、最後。やっと終わった」

荷造りが終わり、すっかり広くなった部屋に寝転がると、ケータイの着信音が耳に入ってきた。

「はい、もしもし」

『あ、日向か。俺だけど』

「オレオレ詐欺なら間に合ってまーす」

『おい、ゴラァッ』

「冗談だって。お前、ほんと怖いよな。で、なんだよ」

『うるせぇな。・・・明日だろ? 引越し』

「うん。あ、前にも言ったけど、見送りとか来るなよ!」

『行かねぇよ。一生の別れじゃあるまいし』

「・・・うん。また、会える、よな?」

確かに一生の別れじゃない。
でも、こうして影山の声を聞いていると、途端に離れるのが怖くなる。

『ったりめーだろ。すぐに会える』

「だな。なぁ・・・東京行く前に・・・会えない、かな?」

『悪ぃ、俺も荷物の整理で忙しいんだ』

「だよな。お前も引っ越すって言ってたもんな」

『あぁ。あ、そうだ、日向。東京行ったら、まず人形焼買えよ』

「はぁ? なんでだよ」

『なんででも。わかったな』

「わ、わかったよ」

『よし。じゃあ、またな』

「え? あ、うん。じゃあ、また」

最後の日なのに、と思う日向とは裏腹に、影山はあっさりと電話を切ってしまった。

「ったく、ちょっとは寂しがってくれてもいいじゃんか」

そう悪態を付きながらも、またすぐ会える、と言ってくれた影山の言葉に、日向は頬を綻ばせた。

To be continued

忘れられない恋心は5

「お前・・・何、泣いてんだよ」

「ごめっ・・・俺、ほんと、大丈夫だから。もう、影山の事は諦めるって・・・決めたから。だから、この旅行中だけは・・・一緒に、居させて・・・」

「何・・・言ってんだよ。意味わかんね。それじゃ、まるで・・・お前も・・・俺の事・・・って、勘違いしそうになる」

もう、ここまで来たら、隠し通せない。
どうせ、もう影山には彼女が居て、自分はそのうち嫌でも彼から離れていく。
なら、最後に気持ちを伝える事ぐらい、許して欲しい。

「俺、影山の事、好きだよ。高校の頃から、ずっと」

「は? なんだよ、それ。だって・・・お前、あの時の告白・・・断ったじゃねぇか」

「記憶勝手にすり替えんな! 断ってなんかない」

「・・・でも、お前は何も言わないで逃げた。それって断った事と代わりねぇだろ」

確かに、影山の言う通り、何も言わないという事は、そう捉えられても仕方のない事だ。

「・・・嬉しかった。ずっと好きだったから、影山も同じ気持ちなんだってわかって・・・ほんと、嬉しかった」

「じゃあ、なんで・・・」

「男の俺なんかと付き合ったら、いつかお前の将来台無しにすると思ったから。現にお前は今、結婚考える彼女が居る。俺とじゃ、そういう幸せ・・・あげられない。だから、大学卒業したら東京行って、今度こそ影山への気持ち・・・忘れようって思ったのに・・・」

今まで溜め込んで来た想いを吐き出すと共に、目からは大量の涙が溢れ出して、頬を濡らしていく。
滲む視界では影山がどんな顔をしているのかなんてわからず、日向は俯いたまま、目をきつく瞑った。

「お前・・・バカじゃねぇの?」

「はぁ!?」

いきなりバカと言われ、思わずムキになって顔を上げた。
すると、影山の腕が伸びてきて、体を引き寄せられる。

影山に抱き締められている。
そう思うと、心臓が痛い程に高鳴るのを感じた。

「ほんと、バカ。俺の将来とか幸せとか、お前が勝手に決めんな。あの告白で俺がどんだけ緊張したと思ってんだよ。なのに、お前は何も言わずに逃げ出すし・・・だから、お前を諦める為にバイトに打ち込んだ。あの日、お前に会いに行ったのは、ちゃんと諦める為だったんだ」

「何・・・」

「最後まで聞け、ボケ。正直、彼女を紹介された時、彼女の事はなんとも思ってなかった。でも、もし彼女と結婚すれば、日向の事を完全に吹っ切れるかもしれないって思ったから。だから、お前に自分の口から結婚するって伝えれば諦められると思ってた。・・・でも、逆効果だった。やっぱり俺はお前を諦められなかった。だから、お前の記憶がなくなって、ひょっとしたら、今なら上手く行くんじゃないかって思ったけど・・・それじゃ、やっぱ意味がないんだってわかった。過去をなかった事にはできないし、したくもない。だから、もう一回言う」

そう言うと、影山は体を少し離し、涙で滲む日向の目を真っ直ぐ見つめ、もう一度、あの時と同じ言葉を紡いだ。

「日向が好きだ」

To be continued

忘れられない恋心は4

旅行当日、日向はすっかり足の調子も良くなり、バスに揺られていた。

「温泉とか何年ぶりだろ」

「俺もしばらく行ってねぇな」

「露天風呂、楽しみだよな〜」

「ガキか」

「はぁ!? もう成人してますー」

バスの中でそんな他愛もない言い合いをしていると、あっという間に旅館へと到着した。

少し古臭い感じの見た目だったが、旅館の中は凄く綺麗で、二人にしては広過ぎる部屋に通される。
部屋の窓からは外の景色が見え、少し遠くの海が綺麗に波打っていた。

「すげー良い旅館だな、影山」

「そうだな」

こうしてはしゃいでいる日向を見ると、まるで高校の時に戻ったような錯覚に陥る。
でも、もうあの頃に戻れない事は影山が一番良くわかっていた。
あの頃に戻るには、お互いに大人になり過ぎたのかもしれない。

「日向、露天風呂入ってくるか?」

「おう、そうだな」

影山がそう言うと、日向は嬉しそうに露天風呂へと消えていった。

一人になった影山はその場に腰を下ろし、小さく溜め息を漏らした──。




それから影山も露天風呂に入り、夕飯を食べたあと、部屋に用意された布団に潜り込んだ。

「なぁ、影山。露天風呂最高だったな」

「あぁ、そうだな」

そんな会話をした後、しばらくすると隣から寝息が聞こえてきた。

「日向・・・?」

そっと隣の日向を覗き込むと、なんとも満足そうな顔で眠っているのが目に入ってくる。

「・・・なぁ、日向。今でも好きだって言ったら、お前・・・どうする?」

答えるはずもない相手にそんな問い掛けをし、その頭にそっと手を伸ばした。

この想いは卒業式の時の告白で忘れると決めていた。
なのに、日向と居ると、いつまでもあの頃の気持ちを引きずってしまう。

それに今の日向はあの告白を知らない。
もしかしたら、今の日向となら、なんて思ってしまうが、いくら日向が忘れていても、自分が覚えている。
時間を巻き戻すなんて、そんな都合のいい事は出来るはずもなかった。

なのに、気持ちを抑える事も出来ず、眠っている日向の唇にそっと口付けた。

「ん、っ・・・んぅっ・・・かげ、やま?」

ゆっくりと唇を離すと、閉じていた日向の目が開かれ、視線がぶつかり合う。

「ひ、日向・・・悪い」

「な、んで?」

「悪い夢だと思って・・・忘れてくれ」

「・・・え?」

忘れてくれ、と言った影山の言葉に、日向の頭の中には今と同じ表情をする影山の姿が浮かんできた。
それをキッカケに、忘れていた記憶が次々と思い出されていく。

「かげ、やま・・・なんで、キスなんて・・・」

「だから、悪かった。俺、ちょっと頭冷やして──」

立ち上がろうとする影山の手を咄嗟に掴めば、驚いた表情でこちらを見る影山と目が合った。

「あ、ごめ・・・」

「いや、俺の方こそ、悪い」

「・・・お前、結婚、するんだろ?」

「!? なんで・・・それ。・・・お前、記憶が戻ったのか!?」

「うん・・・思い出した。俺、もう大丈夫だから。今まで・・・ありがとな。この旅行で最後にする。だから・・・彼女と幸せ、にな・・・」

「日向・・・?」

「あ、れ・・・?」

こんなはずじゃなかった。
影山への想いは忘れると決めたはずだ。
なのに、さっきのキスで、もしかしたら、なんて期待が生まれたせいか、涙が止まらなかった。

To be continued
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